壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
俺の話を聞いた局長は何度か頷いた後に言葉を発した。

「なるほどな。
まぁ、杉崎には後で謝っておく。

沖田、お前のもとには一番隊の隊士がいる。
決して一時の判断に惑わされるな。

他に言いたいことがないのならもう出ていけ。」

とりあえず謝ってくれるという言葉を信じよう、そう俺は思った。

「先ほどは言いすぎて申し訳ありません。

俺は決して一番隊の奴も他の奴も見捨てないのでご安心を。」

そう言って俺は立ち上がり、障子に手をかけた。

「お前、隠してることがあれば一番隊の奴に正直に話せよ。」

局長が何を言わんとしているのかはわかっている。

俺の体調のことだろう。

最近松本先生に診察してもらうことが多くなっているから、局長は気づいていたのだ。

俺がひた隠しにしていることを。

「時が来たら話します。

今話しても混乱させるだけなので。
失礼します。」

時が来ても俺は話すつもりなどなかった。

でもそう言わないと局長は言ってしまいそうだからいつか言うと言って局長の部屋を後にした。
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