壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
祇園際の日、新選組の隊士は三つに分けられた。

近藤先生を主体とする近藤隊。
土方先生を主体とする土方隊。
屯所を守るため、待機の隊士たち。

私たち三番隊の兵士は土方隊に加わることとなった。

近藤隊は川沿いを、土方隊は小路を見廻り、怪しい動きがあった場合は乗り込むということになっていた。

本来、会津藩から応援が来ることになっていたにもかかわらず、戌の刻になっても現れないため、新選組隊士だけで長州藩らを見つけることになった。

人が集まれそうや宿屋を見つけては立ち入り、違ってはまた他のところに立ち入るということをそれぞれの隊で繰り返していた時だった。

池田屋というところで目的の長州藩の人たちを見つけ、近藤隊が乗り込んだ。

近藤、沖田、永倉、藤堂が中へ乗り込み、残りの隊士は外を張ったり、土方隊へ伝達をしていた。

「われら、新選組。
御用改めである。

抵抗するものは容赦なく切り捨てる。」

近藤はそう言ったのだが、それに従うものはなく、相手が抜刀したため、新選組隊士も抜刀した。

新選組隊士四人に対し、相手は二十を超えているようであり、戦況はむこう側に傾いていた。

そんなさなか、沖田が連日続く暑さゆえか体調を崩し戦線離脱、藤堂が暑さゆえか額に巻いていた鉢金をとったところに隠れていた相手に斬られ、目に血が入り戦線離脱。

一気に新選組は窮地に追いやられてしまったのだ。
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