壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
「いや、私はもうどこにも逃げない。

沖田君にも言われたんだ。
このままもっと遠くへ、江戸よりも先へ逃げてくださいと。

でも私はそんな卑怯なことはしない。

自分の後始末は自分でやる。

杉崎君にも、沖田君にも迷惑ばかりかけることになってすまない。

私はもう生きることに疲れた。

杉崎君、逝かせておくれ。」

自分の命の終わりを自分で決めようとしている山南先生に涙があふれ、とまらなかった。

何度袖で拭いてもそれはとまることなく、このまま涙が枯れてしまえばいいと思うほどだった。
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