壬生狼の恋ー時を超えたふたりー

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「局長、あの任務は失敗です。

斎藤は二度と帰ってこないのではないでしょうか?」

「俺は斎藤が新選組を裏切っていないと信じている。

期日まではまだ二月ある。
それまでに戻ってこなければ斎藤は御陵衛士とみなし粛清しなければならないが、期日が来るまでは動くな…」

土方先生は胡坐を組み、苛立ちを隠せない状況だった。

「局長が斎藤のふざけた申し出を認めるから、杉崎や三番隊の隊士は振り回された。

もし、斎藤が戻ってこなかったとしたら、俺は局長であってもあなたを許さねぇ。」

そう言い残すと土方先生は立ち上がり、障子を思いっきり開け近藤先生の部屋を後にした。

「斎藤、わかっているんだろうな。

必ず戻ってこい。」

近藤先生のそのささやきは誰の耳にも入ることはなかった。

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