壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
「斎藤、ただいま戻りました。」

「おう、ふたりとも入れ。」

中から入室するように言われ斎藤先生の後に続くようにして近藤先生の部屋へ入室した。

「まず斎藤、潜入ご苦労だった。

逐一送ってくる報告書は局長とともにすべて読ませてもらった。
それを読んだうえで俺たちは今後何かしらの理由をつけて御陵衛士を粛清するという結論に至った。

3ヵ月も居たんだ。

情が沸いて粛清に関わりたくないというのであれば当日屯所警備にあてる。

どうだ?
局長も斎藤の意思を尊重すると言っていたからお前が決めろ。」

土方先生のその言葉に斎藤先生は考えるまでもないといった様子ですぐに答えた。

「俺を当日参加させてください。
いかなる理由があっても新選組を裏切った奴らを許すことはできない。」

「お前ならそう言うと思っていた。

決行がいつになるかはわからねぇ。
それまでになまった剣の腕をどうにかしとけ。」

「わかりました。」

私にはなぜ斎藤先生の剣の腕が落ちていると土方先生がわかったのか理由がわからなかった。

しかし斎藤先生が認めたのだから、私にはわからない見分けるポイントがあったのだろうと思うことにした。
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