壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
谷先生はあろうことか自分を見逃せと私に言ってきたのだ。

さすがにそれだけは許せず、私は真夜中で他の隊士が寝ているにもかかわらず大きな声を出してしまった。

「谷先生、勘違いしないでください。

私は自分の尊敬した人にしか忠誠をささげないし、私の上官は貴方ではなく斎藤先生です。

谷先生が言っていることが本当のことなのかどうかは調べ役が調べればすぐにわかることです。

そして私は調べ役として谷先生を見逃すことはできない。

もし貴方が今ここで逃げようとするのであれば切腹覚悟で貴方を斬ります。」

一度覚悟を決めてしまえばもう怖くなかった。

私は斎藤先生のために忠義をつくすと決めていたのだから。
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