シュガー ガール
そう思い込んでいたのだが、夢の箸が天麩羅の皿の前で停止した。


「夢」


京に名前を呼ばれてハッと目を見開いた夢が、天麩羅に箸を伸ばしたが小刻みに手が震えた。


「美味しそうだね」


ニコッと笑いそう呟いた夢。


「今日は結構食べたから無理しなくていいんだよ」


そう言って、京が切な気に笑う。


「大丈夫……」


夢はそれだけ言うと、大葉の天麩羅を箸で掴み口に運んだ。


あの夢が油物を食べるなんて、想像もしなかった。
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