シュガー ガール
「さあ、部屋に行きますか!!」
「いや。玄関で大丈夫!!」
「いやいや。こんな所で喋っていたら、風邪引くでしょ!!明日菜!!部屋に行こう!!陸斗先輩も来て大丈夫だよね!?」
「もちろん!」



そう言ったものの、陸斗と同じ時間を過ごすと諦めるという気持ちが、余計に曖昧になりそうな気がして怖い。

でも、断るなんて出来なくて__



「部屋散らかってるけど、上がって!」



そう言って、部屋に向かう。

戸惑った表情で着いてくる、陸斗は勉強でもしたかったに違いない。

なんだか、申し訳ない。



部屋の扉を開けると、座布団の上に腰掛けた。



「陸斗先輩は明日菜の隣ね!!」
「あ。分かった……」



私の隣に陸斗が来ただけで、騒ぎ出す心音がうるさい。

もう、ドキドキしなくなる程に完璧に諦められたら良いのに__

こんなんじゃ、ただ辛いだけだ。



「明日菜!!」
「ん?」
「私、トイレ行ってくる!って、事で借りるね!!」



そんなの、困る__

でも、トイレを我慢させる訳にもいかなくてコクリと頷くと小走りで部屋を出て行く夏海。



階段を降りて行く音が、微かに聞こえた。
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