シュガー ガール
「夏海好きー!!」
「もう!近寄らないでよ!!」
「ええ!そんな事言うなんて酷い!!」


入ってきたのは、夏海と大地。

なんていうか、最初は凄まじかった夏海の片思いだったハズなのに今は大地をあしらっている感じがヒシヒシと伝わる。


夏海と大地が部屋に入ってきたタイミングで、押し入れから飛び出した。



「わわっ!明日菜ったら……、何しているの?」
「ぎゃあああ!!」


冷静な夏海と、取り乱して夏海から離れない大地。

というか大地は泣いている。

可哀想だが、こんなに驚いて貰えたら満足だ。



「大地ったら……。これ、明日菜だよ!」
「あっ!本当だ……」
「じゃあ、次が来るから出ておこうか!」
「うん!」


平然とした表情で、帰っていく夏海とほっとした表情の大地を見ていると笑いそうになってしまう。


夏海達が廃墟を出る音がしたかと思ったら、誰かが室内に入って来る気配がした。



「やだ!怖いっ!!」


聞こえてきたのは夢の声で、さっき大地が驚いてくれた時の快感を思い出して、笑顔になってしまう。

しかし、夢は本気ではびっくりなんてしなそうだし、京の驚く姿も想像出来ない。



「大丈夫。幽霊なんていないから!」
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