エセ・ストラテジストは、奔走する
《…いや、大学時代に茅人、うちのお母さんには会ったことあるし。》
《ぼけ、あの頃と今は違うだろうが。》
《確かに、家族に会うって、今だとそれなりに意味が変わってくるかもだね。》
《そうかなあ。》
《お前、美都の意見ならすんなり聞き入れるのなんなん。》
《と言うかそろそろグループ名変えてよ、私が変えてもすぐ戻してくるし。》
《俺明日早いから寝るわ、おやすみ。》
《千歳ちゃんおやすみ。》
《待って!?》
「……はあ?」
「…いや、言うとは思ってたけども。」
「なんで私が千歳の彼氏に会わなきゃいけないのよ。」
「だって東京にいる親戚、亜子《あこ》ちゃんしか居ないし…」
「あのさあ千歳。その、よく分かんない作戦だけど。
まあ目的としてはよくあるやつでしょ?
彼氏にプロポーズされたい女子が、色々策を講じるやつ。」
「そ、そうですね。」
「…なんで当事者のあんたがそんな頼りないのよ。」
まじでそういうの向いていないからです、とは言えず体をただ縮こまらせる。