エセ・ストラテジストは、奔走する
2人の軌跡を辿って、
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《彼女できた?》
《お前それ以外、聞いてくること無いのか》
《だってさあ〜雪が似合う儚い雰囲気の美女は!?》
高校を卒業して進学したのは
日本海側の豪雪地帯にある大学だった。
進路を話した時、東京の大学を目指していた真嶋は「なんでそんな遠くへわざわざ行くんだよ!」と何故か怒っていたけど。
昔から読んでいた本の著者が、偶然その大学で臨時講師をしていると知ったことと、後は母方の実家があるのも大きかった。
そもそも住み慣れた実家は、同じ東京に位置するくせに、あまりに都心から離れた交通アクセスの悪い場所にあり、どちらにせよ、どこの大学に通うにしても、家を出るつもりだった。
就職でまた東京へ戻ってくるとしても、今までとは全く違う環境で生活してみるのも悪くない。
そう思って、この大学を選んだ。
《雪国キャンパスライフ、もうちょっと浮いた話無い!?》
余計なお世話だ。
大学生活も、もう2年目を迎えるというのに真嶋は相も変わらずふとした時に、どうでも良い連絡をよこしてくる。
《無い。》
《俺がお前だったら、絶対もっと愛想よくして、
すげーモテてる自信あるわ。
"格好いいけど是枝君、ちょっと怖そう"
って言われがち。》
《余計なお世話。》
それこそ高校の頃、このお節介な真嶋がもはや無理やりに紹介してきた人と交際していた期間がある。
でも結局うまくはいかず、
向こうから別れを告げられた。
大学でもそうだ。
学部の飲み会で何をそんな気に入ってくれたのか分からないが、頻繁に連絡をしてくる人がいても、それに応えられるエネルギーが無い。
自ら動くだとか、そういう気持ちにいつも至らなくて、俺は恐らくこの類いのことには、とことん向いていない、冷めた人間なのだと既に悟っていた。