エセ・ストラテジストは、奔走する
《初っ端から、作戦がとても雑だと思います。》
《お前、頭脳にいちゃもんつけてくんなや。》
《千歳ちゃん、でもあんまり手料理とか振る舞ったこと無いんじゃない?》
《……こう見えて、料理はとても苦手です。》
《なんも驚かねえわ別に。》
《うっさいな。
だから、“胃袋掴む“とか今更無理だよ私。》
《料理は美味しさじゃなくて真心だろうが》
《偉そうなのに正論。》
《千歳ちゃんが一生懸命料理作ってあげたら、喜ぶと思うけどなあ。今度いつ会うの?》
《どうだろう、来週の金曜かな?連絡が来れば、だけど。》
《じゃあその時、味噌汁作れ。
「俺の味噌汁を一生〜(以下略)」の言葉を引き出す。はい完璧。おめでと。》
《ベタすぎない?あと雑!!途中でバレるわ!》
《つかお前ら、お互い東京で働いてるくせにそんな会えねーの?
もう同棲しろよ面倒くせえ。》
そんな選択肢、私には持つ権利が1つも無かった。
__“これ以上、彼の迷惑にはならないこと。“
それを何よりも1番、ずっと考えてきた。