チョコ4つと意趣返し ~12年目の恋物語 番外編(3)~
■4■
バレンタインデイ当日の放課後。
過去何度か一緒に来たカフェの窓際の席に二人で座った。
オーダーの後、
「はい、どうぞ」
と、私が差し出したものを見ると、先輩は怖い顔をした。
あれ?
「……で、なんでチョコが4つもあるの?」
「あ、しまった。これですこれ。私からはこの紺色の包装紙のチョコです」
テーブルの上に並べられた4つのチョコ。
その中から、私は一つを選んで、スーッと先輩の前までスライドさせた。
「ありがとう。……で? 残りは何? 誰か他の人間からのなんだよね?」
と、気合の入ったいい笑顔で私を見据える先輩。
その笑顔、怖いですって。
うーん。順番間違えちゃった……よね。
陽菜からのチョコを渡したら喜ぶかなって思ったんだ。で、まずは自分のをとか考えずにうっかり全部出しちゃった。
「えと、これ、陽菜からです」
残り3つの中から、小ぶりな水色の包装紙のチョコを持ち上げて、先輩の前に置きなおす。
「ハルちゃんから?」
先輩が目を見開き、陽菜からのチョコを手に取る。と同時に、硬質な空気がふっと霧散して、先輩はやわらかな笑顔を浮かべた。
……ああ。
先輩が喜んでくれて良かったと思っているのに、少しだけチクリと胸が痛む。
知ってると思いますけど、それ、義理チョコですからね。
過去何度か一緒に来たカフェの窓際の席に二人で座った。
オーダーの後、
「はい、どうぞ」
と、私が差し出したものを見ると、先輩は怖い顔をした。
あれ?
「……で、なんでチョコが4つもあるの?」
「あ、しまった。これですこれ。私からはこの紺色の包装紙のチョコです」
テーブルの上に並べられた4つのチョコ。
その中から、私は一つを選んで、スーッと先輩の前までスライドさせた。
「ありがとう。……で? 残りは何? 誰か他の人間からのなんだよね?」
と、気合の入ったいい笑顔で私を見据える先輩。
その笑顔、怖いですって。
うーん。順番間違えちゃった……よね。
陽菜からのチョコを渡したら喜ぶかなって思ったんだ。で、まずは自分のをとか考えずにうっかり全部出しちゃった。
「えと、これ、陽菜からです」
残り3つの中から、小ぶりな水色の包装紙のチョコを持ち上げて、先輩の前に置きなおす。
「ハルちゃんから?」
先輩が目を見開き、陽菜からのチョコを手に取る。と同時に、硬質な空気がふっと霧散して、先輩はやわらかな笑顔を浮かべた。
……ああ。
先輩が喜んでくれて良かったと思っているのに、少しだけチクリと胸が痛む。
知ってると思いますけど、それ、義理チョコですからね。