チョコ4つと意趣返し ~12年目の恋物語 番外編(3)~
「で、後の二つは?」

 先輩はもう怒っていなかった。何かあるんだろって感じで、残ったチョコを指で弾いた。

「あ、それは亜矢と莉乃って、えーっと陽菜と私と一緒にお弁当食べてる友だちからです」

「……は? 誰って?」

「あーーー、つまり、うちの陽菜がお世話になりました、のチョコです」

 そう言うと、先輩はプッと吹き出した。

「何それ!」

 だって、あの日、別れ際に陽菜から先輩へのチョコを預かっているのを見た二人が、あの後、「だったら私たちも!」って選び始めちゃったんだよねー。

「120パーセント義理チョコなんで安心して下さい!」

 胸を張ってそう言うと、先輩はお腹を抱えて笑い出した。

「……そんなに面白いですかねぇ?」

 小首を傾げると、先輩は

「ホント、寺本さんといると飽きないよ」

 と笑いに顔を歪めた。

「はあ。楽しんでもらえて良かったです」

 そう言うと、先輩は「もうダメ」とつぶやくと、机に突っ伏して笑い出した。


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