チョコ4つと意趣返し ~12年目の恋物語 番外編(3)~
■5■
一ヶ月後。
バレンタインデイの日と同じカフェ。奇遇にもあの日と同じ席で、先輩と私は向かい合わせに座っていた。
「はい」
テーブルに並べられたのは薄黄色の小ぶりな袋4つ。
「ホワイトデイのお返し」
先輩はニコリと笑う。
形や大きさからして、クッキーか何かが入ってそうな可愛らしいパッケージだった。
「……先輩、4つありますけど」
しかも、全く同じものに見えるんだけど。
「そりゃ、寺本から4つもらったし?」
「えー。私は本命用の大きいのだったじゃないですかー。後のは義理チョコですよー。てか、私は預かっただけで、私からは1つだけだし」
思わず、口を尖らせると先輩は、
「あはは。冗談に決まってるだろ。……はい」
と楽しげに笑いながら、鞄から綺麗に包装された小箱を取り出した。
「え?」
「これが寺本の分」
「あ……ありがとうございます!」
「後、こっちもどうぞ」
と、先ほどのクッキー(?)の袋を一つ取ると、小箱の横に置いた。
「わ、いいんですか?」
「もちろん。寺本の怒った顔も見られたし溜飲が下ったよ」
バレンタインデイの日と同じカフェ。奇遇にもあの日と同じ席で、先輩と私は向かい合わせに座っていた。
「はい」
テーブルに並べられたのは薄黄色の小ぶりな袋4つ。
「ホワイトデイのお返し」
先輩はニコリと笑う。
形や大きさからして、クッキーか何かが入ってそうな可愛らしいパッケージだった。
「……先輩、4つありますけど」
しかも、全く同じものに見えるんだけど。
「そりゃ、寺本から4つもらったし?」
「えー。私は本命用の大きいのだったじゃないですかー。後のは義理チョコですよー。てか、私は預かっただけで、私からは1つだけだし」
思わず、口を尖らせると先輩は、
「あはは。冗談に決まってるだろ。……はい」
と楽しげに笑いながら、鞄から綺麗に包装された小箱を取り出した。
「え?」
「これが寺本の分」
「あ……ありがとうございます!」
「後、こっちもどうぞ」
と、先ほどのクッキー(?)の袋を一つ取ると、小箱の横に置いた。
「わ、いいんですか?」
「もちろん。寺本の怒った顔も見られたし溜飲が下ったよ」