チョコ4つと意趣返し ~12年目の恋物語 番外編(3)~
 心を落ち着けるべく、すーっと息を深く吸い込む。それから、

「あのね、大きな声上げないでね」

 そう念押し。

 すると、亜矢は「もしかして?」なんて顔をして目を輝かせる。莉乃もさすがに何かを察して真顔になり、身を乗り出して来る。二人に合わせるように、戸惑いがちに陽菜も身を寄せた。

 四人で頭を突き合わせる状態になったところで、

「それとね、この事、できるだけ人には言わないで欲しい」

 と一言。
 三人がコクリと頷くのを見て、ゆっくりと口を開き、

「羽鳥先輩と、つきあうことになったよ」

 と小声で報告。

 叶太くんの告白のあれこれを内緒にしてたこと、実は後から亜矢と莉乃にはチクチク言われたんだよね。チクチクって言うか、「ちゃんと私たちにも手伝わせろ」って。
 なんか突っ走っちゃって申し訳なかったなって思ったから、今回はちゃんと報告。

 と思ったのに、私の話を聞いた数秒後、

「聞いてないよ〜!!」

 亜矢と莉乃の声がハモる。大きな声上げないでって言ったのに、二人の声は結構な大きさで、陽菜はビックリしたように身を引き目を丸くするし、一瞬でクラス中が静まりかえり、私たちはクラスみんなの注目を浴びた。

 慌てて、「しーっ」と人差し指を立てると二人は、しまったと言う顔をする。けど、そのまま両手を握りしめて、「どう言うことか教えてくれるんだよね?」と目で訴えてくる。

 そんな二人とは対照的に、陽菜はふわりとまるでつぼみが花開くように優しく微笑み、

「しーちゃん、おめでとう!」

 と言って、笑顔をほころばせた。
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