チョコ4つと意趣返し ~12年目の恋物語 番外編(3)~
 結局、その週の土曜日は、

「私たちも一緒に行く!」

 と亜矢と莉乃も参戦が決定。
 二人はまだ独り身だし、誰かに片想い中ってわけでもない。だけど、

「パパにもたまには気合の入ったチョコ買わなきゃね」

「うちのお兄ちゃんたち、チョコあげると喜ぶんだよね〜。もちろん、お父さんにもあげなきゃだし〜」

 なんて言うんだもん、ダメって言えないよね?

 二人の目はキラキラ……って言うか、ギラギラ輝いていた。洗いざらい吐けってオーラがすごくて、思わず笑ってしまった。

 学校じゃ話せなくても、チョコ買いに行った先なら良いだろうって?
 うーん。洗いざらいって言うほどのことは何もないんだけどな〜。

 聞かれたら何でも話そうとは思ってるけど、羽鳥先輩が陽菜を好きだったこと、陽菜をまだ好きだってことだけは絶対に言えない。そして、それを内緒にしたら、なんで羽鳥先輩がOKしてくれたかの説明が付かない。

 けどまあ、「わたしと一緒に陽菜の幸せを見守りましょう!!」って言葉でOKしてくれたんだって言ったって、変な顔する二人しか思い浮かばないんだけどね。

 何にしても私が今、羽鳥先輩の彼女なのは確かだから、それでいい。

 だから、チョコを買いに行くんだし。


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