望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「3年以内で離婚なんて、もう言わせない。お前は俺を惚れさせたんだ、一生離さないから覚悟しとけよ」
「……っ」
泣き止んだばかりなのに、また郁也さんが私を泣かせてくる。
明日には目が腫れていそうで怖い、けれど──何より、嬉しくてたまらない。
「あと婚約指輪は俺の覚悟の表れでもあるからな。もちろん返品不可だ」
「……じゃあつけてください」
郁也さんに箱ごと渡し、結婚指輪を外す。
拒否するつもりはないけれど、受け入れる言葉を口にするのは恥ずかしくて、遠回しに受け入れる形となってしまった。
郁也さんは目を見張った後、すぐに笑みを浮かべ、婚約指輪を左手の薬指につけてくれた。
サイズもピッタリで、ダイヤモンドの輝きが綺麗だと思った。
「何だ、もっとダイヤが大きい方が良かったか?」
「すごく綺麗だなと思っていただけです」
「やっぱりな。お前のことだから、大きさに拘りはないだろうと思って、無難なサイズにしたつもりだ」
「そこまで考えてくれていたんですね」
「自分でも驚いた。まさかここまでお前の……」
突然郁也さんが何かを言いかけていた口を閉じ、考え込む動作に入ってしまう。
一体どうしたのだろうと思っていると、彼がふっと小さな笑みをもらした。