望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
いつもこの時間はまだ寝ている時間のはずなのに。
今日に限って早いなんて聞いていない。
グレーのルームスウェット姿の郁也さんが不機嫌そうに目を細めていたかと思うと、ようやく私に気づき、互いに立ち止まった状態で目が合った。
数秒間の沈黙が流れた後、ゆっくりと彼の目が見開かれていく。
一体どうしたのかと思い声をかけようとしたけれど、久しぶりに会った上に挨拶すらし損ねた今、何を言葉にすれば良いのかわからなかった。
少しの間見つめ合い、微妙な空気が流れていると、ようやく彼がハッと我に返ったような表情を浮かべる。
「こうして見るとお前、やっぱり学生らしいな」
「はい?」
「挙式の時は随分と派手な化粧で着飾っていたんだな、今は年相応の見た目だな。ガキっぽくて」
郁也さんに見下すように笑われたけれど、すぐさま反応することができなかった。
彼の言葉をすぐには理解できず、時間を要していたからだ。
派手な化粧、着飾り、ガキ……?
27歳の男から見れば、確かに子供っぽいかもしれないけれど。わざわざ口にする必要があるだろうか。
「ああ、あと一つお前に言いたいことがあってな。毎日俺の分の飯を用意してるけど、もしかして俺をずっと家に縛り続ける気か?」
「は……?」
まだ先程の言葉の脳内処理が終わっていないというのに、さらに彼は言葉を続けてくる。