望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


「お前が毎日飯を用意するせいで、飲み会一つ行けない。それどころか、俺の女と会えない状況にもなっている」


 相手の言葉を理解していくと同時に、苛立ちが募っていく。

 ご飯を用意してあげているのは私だというのに、どうして上から目線の物言いができるのだ。

 第一、ご飯がいらないのなら私に言えばいい話だろう。


「貴方、それでも会社員ですか?」

 口が滑ったのではなく、我慢ができなかった。
 このまま都合の良い女にはなりたくない。


「ホウレンソウ、って言葉を知っていますか?“報告・連絡・相談”というものです。ご飯がいらないのなら言ってもらえませんか?せめてどうするべきか相談して欲しいものです。2人分を作る私の身にもなってください」


 もちろん笑顔は崩さない。
 完全に作り笑いのため、口の端がピクピクと動いているけれど。


「俺と顔を合わせるのを避けているお前にいつ言えと?」

「そんなの連絡してくれたら……」


 そこまで言いかけたけれど、衝撃的事実に今更気がついた。

 郁也さんの連絡先を知らないことに。
 夫婦になって2週間が経ったというのに、相手の連絡先すら知らないってかなりやばいのでは……?

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