望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「家に電話をするとか、置き手紙だとか、連絡手段は他にもあるでしょう!」
「だから今のタイミングで言っている」
「あーもう!わかりました!ご飯がいらない日は連絡してください!」
「なら早くスマホを出せ」
「はい?」
「連絡先を交換しないと色々と不便だろう」
郁也さんはズボンから最新型のスマホを取り出し、連絡先の交換を求めてきた。
渋々ながらも素直に従い、連絡先を交換する。
もしかして彼は連絡先を交換するために今の話をした?
なんて、さすがにそれはあり得ないか。
わざわざ人を怒らせてまで連絡先を交換したいと思うはずがない。
まあ互いの連絡先を知っておいた方が楽であることは確かだ。
「ちなみに今日からアルバイトが始まるので、貴方のご飯を作れない日があります。今日の夜ご飯は用意できないので、どうぞ飲み会にでも行ってご飯を済ませてから帰ってきてくださいね」
本当は講義後、アルバイトまでの時間を使って家に帰り、夜ご飯の準備をしようと思っていたけれど。
先程の彼の言葉が許せず、アルバイトのある日はご飯を作らないと決めた。
「それでは大学に行ってきますね」
郁也さんの返事を聞くどころか反応すら確認せずに、私は彼の横を通って玄関へと向かった。