望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「朱莉ちゃん!?貴女、久しぶりじゃないの〜」
「お久しぶりです!実は2週間ぶりなんですよ」
お昼のピークが終わり、平日の今の時間はお客さんも二組しかおらず、落ち着いていた。
どちらのお客さんも常連の人で、久しぶりに会う私を見て声をかけてくれた。
「バイトまで時間があるだろうし、今から何か食べるかい?」
「良いんですか……!」
「もちろんだよ。今は店も落ち着いているし、リクエストしてくれたものを作るよ」
慎二さんはアルバイトに入る度、何か賄いを作ってくれる。
メニューにあるものや、少しアレンジしたものまで幅広く作ってくれるのだ。
「じゃあナポリタンが食べたいです!」
ここのカフェのご飯はどれも美味しいけれど、2週間ぶりということで、定番のナポリタンが食べたくなってリクエストした。
「了解。今から作っ……いや、でもあれだね。もうすぐ優希も来るだろうし、一緒に食べるかい?」
慎二さんの言葉に、心臓が大きな音を立てる。
今日、私とシフトが被っている先輩── 白井優希くん。
2歳上の現在大学4年の優希くんには、とてもお世話になっていた。
新人だった頃の私に指導してくれたり、今でも困った時にはいつも助けてくれる。
「あっ、でも……」
慎二さんは笑顔で提案をしてくれたけれど、私達の事情を思い出して、ふと申し訳なさそうな顔に変わる。