望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
第二話 仮面夫婦
私が今のアルバイトを始めたのは高校2年の時だった。
高校の友達に気になるカフェがあると言われ、誘われたのがきっかけだった。
最初は客としてその店に行ったけれど、あっという間に店の雰囲気やメニューに惚れ込んでしまい、気づけば何度も店に足を運んでいた。
初めて店に行った時から優希くんは店員として働いていて、いつの間にか顔を覚えられていた私が店に行けば、自然と言葉を交わすようになっていた。
そんなある日、慎二さんに人手が足りず困っていると話をされ、悩んだ末に働くことに。
慎二さんだけではなく、優希くんや他の店員さんにも『ぜひ!』と歓迎され、流された部分はあるけれど。
最初は高校の友達と一緒に働いていたけれど、その子は大学進学と同時に続けるのは困難だということで辞めていった。
客から店員になると、新たな発見も多く、大変なこともあったけれど楽しく働くことができていた。
働く前から優希くんとは話していたけれど、アルバイトを始めてから連絡先を交換し、会話をする機会がさらに増えたことで、自然と距離は縮まっていった。
二人で何度か出掛けたり、ご飯に行ったり。
気づけば優希くんのことを考える時間が増え、好きだと自覚するのは簡単だった。