望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


「まさか。可愛くない女とかは言ってるけど、むしろ心配していたよ」

「心配、ですか?」


 誰に?と思ってしまったのは、自分ではないと判断する自分がいたからだ。

 つい朝春さんの言葉を復唱してしまう。


「毎日朝早くに起きて朝ご飯やお弁当の準備をしてくれて、夜ご飯も準備してくれているのに、君はアルバイトで遅くなる日も多くて体が壊れないのかって」

「……冗談、ですよね?」


 郁也さんが私の心配をするだなんてあり得ない。
 容易に信じられず、朝春さんが気を遣っての言葉だとすら思ってしまう。


「大マジだよ。だから郁也、何とかして毎食ご飯を作らせるのをやめさせたいって言って、今では外で食べる日が多くないか?」


 ふと、郁也さんに『毎日俺の分の飯を用意してるけど、もしかして俺をずっと家に縛り続ける気か?』と言われた日のことを思い出す。

 確かあれは結婚して2週間ほど経った日のことだ。


 もしかしてあのセリフ、私を心配しての言葉だったの……!?


「不器用すぎでしょ……」
「だよなぁ、かなり不器用だと思う」


 朝春さんは郁也さんと私の事情を知っているということで、以前彼に言われた内容を話してみることにした。

 すると朝春さんは「それはひどいな」と肩を揺らして笑い始めた。

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