望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


 郁也さんたちは再び飲み始めた後、遅くなる前に解散していた。

 駅まで送ってくるという郁也さんに笑顔で頷き、私は玄関先まで4人を見送った。


 休む暇なくリビングの片付けに移る。

 本当は早く着替えてお風呂に入って寝たいけれど、郁也さんが残りの片付けを全てやるとは思えない。


 飲み終わっている大量の缶を袋に入れて、一つにまとめる。

 お菓子のゴミなども回収し、残りのお皿やコップはキッチンのシンクに持っていく。



 洗い物をする前にテーブルを濡らした布巾で拭いていると、玄関先から物音が聞こえ、郁也さんが戻ってきたのだとわかった。

 思ったよりも早かった気がする。
 もっと同僚と外で話して長くなると思っていたのに……片付けを全て終わらし、先にお風呂に入りたかったけれど、それは難しそうだ。


 郁也さんはリビングに顔を出すことなく、先にお風呂に入るだろうと勝手に想像していたけれど、彼は何故かリビングにやって来た。


「何か手伝うことはあるか」
「……はい?」

 一瞬空耳かと思って郁也さんの方に視線を向けると、相変わらず硬い表情で立っていた。


「片付けを全部一人でやるのは大変だろ」

「いや、あと少しなので貴方は早くお風呂に入ってください」


 郁也さんと一緒に片付けをするなど、気まずくて嫌に決まっている。

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