望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
明らかに年上の女性に、子供っぽくて悪かったねとは言い返せないけれど、イラッとしたのは確かだ。
恐らく郁也さんの恋人であろう女性は厚化粧で、大胆に肩を露出しているオフショルダーのトップスに膝丈の黒スカートを合わせ、男性を誘うような服装をしていた。
さらに高そうなアクセサリーや時計をつけていて、派手なのがわかる。
なるほど、郁也さんのタイプの女性はこのような人なのか。
私とはタイプが全然違うのが一目瞭然だ。
「香織、余計なことを言うな。後処理が面倒だから」
「えー、だって本当のことでしょ?」
後処理が面倒って……女性が帰ったら、またすぐに地下へ籠るくせに。
「ふふっ、貴女面倒って郁也に言われてるよ。可哀想に」
「自己紹介がまだでしたね。初めまして、郁也さんの妻の漣朱莉です」
「嘘〜!ここにきて妻のアピール?ダッサイことするね!郁也に見向きもされない子供なのに。一応聞くけど、郁也に好きになってもらおうとか思ってないよね?」
性格の悪い男には性格の悪い女しか集まらないのか。
つい相手を睨みそうになったけれど、慌てて笑顔を浮かべる。
「何か勘違いをしているようですが、私たちは期間限定の夫婦なので、好きになることなんてあり得ません」
「期間限定?それってどういうこと?」
郁也さん、もしかしてあの約束のことを女性に話していないのか。