望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


 まあ、私に好きな人がいることは彼にも話していなかったため、当然の反応とも言えるけれど。


 彼女は私の話を聞いて乾いた声で笑い、「それなら良かった」と完全な作り笑いを浮かべたところで、私たちの会話は終了した。

 もっと突っかかってくるかと思ったけれど、何事もなく終われて良かった。


 全く、郁也さんにはタイミングを考えて欲しいものだ。
 二人が家を出たのを確認し、ようやくため息を吐くことができた。

 リビングに入って明かりをつけると、わざわざアルバイトの前に家に帰って作ったご飯がラップされた状態のままキッチンに置かれていた。


 どうやら郁也さんは彼女との時間に夢中で、ご飯はいらなかったようだ。

 それなら連絡をしてくれれば……なんて、考えても無駄である。


 手をつけられていないご飯を見ると、何故だか虚しい気持ちになった。

 私だけがこの冷めた結婚生活の中で奮闘して、空回りしているような気分だ。


 無性に泣きたくなり、無意識のうちにスマホを開いて優希くんの電話番号を画面に出していた。

 言葉にできない感情を誰かに話したくて、真っ先に思い浮かんだのが彼の姿だった。


 けれどもう夜遅いし、寝ていたら迷惑だと思いその画面をそっと閉じる。

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