望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
といっても、彼がリビングに姿を見せるのはご飯の時だけである。その上、一緒に食べているわけでもない。
二人で寝た日はいくつか言葉を交わしたけれど、その日以来、顔を合わせても今のように形式的な挨拶だけの場合が多い。
「なあ、今日何時に買い物に行く予定なんだ?」
「特に決めてないです」
今日は休日で、郁也さんの仕事は休み。
私もアルバイトがなかったため、一週間前に決めた通り、彼と買い物へ行くことになっていた。
「ならお前の準備が出来次第行くぞ」
「わかりました」
郁也さんの言葉に返事をしながら、私は郁也さんの座っている席の前にピザトーストとインスタントのコーンポタージュを置いた。
私も彼と向かい合う形で座り、一緒に朝食をとることにした。
「……どうしたんですか」
ピザトーストを口に運ぼうとしたけれど、視線を感じて前を向けば、郁也さんが驚いたように目を見張って私を見つめていた。
「いや、お前が一緒に食べるなんて珍しいなと思って」
「そうですか?」
「初めてだろう」
「そういえば……そうですね」
郁也さんがリビングに姿を見せるのが当たり前になってきて、つい感覚が鈍っていたようだ。