望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「変なやつだな」
「何ですか急に。一緒に食べるのが嫌なら素直にいってください」
「別に嫌そうな顔をしたつもりはない」
「それならわざわざ私に視線を向けないでくれますか?煩わしいので」
「……本当にお前、可愛くない女だな」
言葉を交わす回数は増えてきたけれど、談笑とは程遠い。油断をすればすぐに不穏な空気は流れてしまう。
「ではすぐに準備を済ませるので」
朝食を終え、早速私は準備に取り掛かる。
メイクはいつもより少し濃いめを意識し、以前郁也さんが同僚を家に呼んだ時のような顔に仕上げた。
服装はストライプのシャツに黒のワイドパンツを合わせ、大人っぽさを意識した。
最後に結婚指輪とホワイトゴールドのピアスをつけようと思い、部屋に向かったけれど、ピアスに手を伸ばした時、ふと手が止まる。
今から郁也さんと買い物に行くというのに、別の男性から貰ったピアスをつけるのはどうなのだろうか。
「……やめよう」
ピアスの入った箱を閉じて、元の位置に直す。
とはいえピアスをつけないのは寂しいため、アクセサリーケースに入っている雫のシルバーピアスをつけることにした。
最後にベージュの上着を羽織り、ソファで待機中の郁也さんの元へ向かう。