望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「じゃあ何処に行くんですか」
助手席に乗らせてもらうなり、郁也さんに尋ねてみる。
正直、彼が何処に行こうとしているのか全く想像できない。
「お前、今欲しい物はないのか」
「欲しい物、ですか?」
食材が欲しいため、今からスーパーに買いに行こうとしていたのだけれど。
突然の質問に戸惑っていると、何故かため息を吐かれてしまう。
「アクセサリーとか鞄とか服とか。女ってそういうの常に欲しいと思ってんだろ」
「え、何処の情報ですかそれ。別に今は欲しいものなんてないです」
「は?」
「えっ?」
正直に答えただけだというのに、郁也さんはエンジンをかけたのと同時に私を驚いた顔で見つめてきた。
その驚いたような表情を向けられるのはもう何度目だろうか。
「ああ、金がないからって見栄張ってんのか。俺がお前に欲しい物を買ってやるって話だから、ブランド物の欲しい物を言えばいい」
「郁也さんが、私に?」
「プレゼント一つしない男が何処にいるんだ。仮にも結婚してるんだからな」
「それでブランド物を買ってくれるってことですか?」
「やっと理解したか。今からデパートに行ってやるから、好きな物を選べば……」
「ちょっと待ってください郁也さん」
何やら上機嫌に話を進めているけれど、少し待ってほしい。