望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
昔から料理をするのは好きだった。
最初はお菓子作りから始まり、お母さんの料理を手伝ったり、教えてもらったり。
郁也さんのために作るのは不満もあったけれど、花嫁修行の一環と思えば頑張れる。
まず初めにお弁当作りから。
いわゆる愛妻弁当というもので、新婚ホヤホヤのため手抜きは禁止だ。
最初は私の作ったお弁当を食べるのかと疑いもあり、『必要がなければ食べなくて結構です』というメモを添えてリビングのテーブルに置いていたが、郁也さんはお弁当を会社に持っていっていた。
翌日の朝キッチンに立てば、夜遅くに帰ってきたであろう彼が、お弁当箱を洗った状態で食器棚に収納されており、その時はつい笑みを漏らしてしまった。
ということで、私は毎日彼のお弁当を作っている。
彼も仲の良い夫婦を演じるということで、お弁当を利用しているだけかもしれないけれど。
お弁当作りを開始するため、袖を捲って手を洗う。
準備万端にしたところで、主菜作りから取り掛かった。
定番の卵焼きと旬の秋鮭を使ってムニエルを作り、お弁当のサイズに合わせて切り分ける。
郁也さんのお弁当箱のサイズは私のお弁当箱のサイズより一回りも大きく、たくさん入る。
場合によっては食材の種類を増やす必要があり、かなり大変だ。
次にご飯が進むおかずがもう一品欲しいと思い、レンコンとひき肉の炒め物にした。
今日の味付けはオイスターソースにしよう。
炒め物は毎日同じ味付けにならないよう、気分によって変えていた。