望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
今の姿で名前を呼ばれるのは、あまり心臓に良くない。
「眠いならベッドで寝ろ」
「でも、まだ歯磨きしてないです……」
「じゃあ歯を磨いて寝ればいいだろ」
「……はい」
彼女は目を擦りながら立ち上がり、クッションを持ったまま洗面所に向かう──のかと思いきや、フラフラしながら2階への階段を目指して歩き始めた。
「待て、そっちに洗面所はない」
「……ん」
フラフラのまま放っておくと、転んで怪我をしそうで、つい腕を掴んでしまう。
「はぁ……お前って本当に子供なんだな」
まるで俺は親のようだと呆れながらも、彼女の腕を引いて洗面所まで連れていく。
ついでに俺も歯を磨き、今日は早めに寝ることにした。
彼女はかなり寝ぼけていてが、ぼうっとしながらも歯磨きはしていた。
それが終われば目を覚ますかと思ったが、どうやら未だに夢心地のようで、結局寝室まで彼女を連れてやって来た。
寝室には一度しか来たことがない上、使ったことがない。
どうやら彼女は男慣れしていそうな見た目に反して慣れておらず、俺が抱きしめただけで恥ずかしそうにしていたのを思い出した。
もう一度見てみたいと思うが、今同じことをしたところで寝ぼけている彼女に効果はなさそうだ。