望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「でも九条さんが雑に扱われていなくて良かった」
「雑には、扱われていないです……今は」
多分、そのはずだ。
結婚してすぐの時は家事も全部私がしていたし、郁也さんと顔を合わせない日がほとんどで最悪だった。
けれど今は家事も分担していて、会話もしている方だ。
それに郁也さんは一度香織さんを家に連れてきた日以来、彼女を家に呼んでいる様子はない。
私がアルバイトの日に呼んでいる可能性もほとんどゼロに近い。
何故ならもし家に呼んでいると、香織さんのきつい香水の匂いが残っているはずだからである。
まあ、外で会っている可能性も十分にあるのだけれど。
別に郁也さんが外で誰と会っていようが、私には関係ない……はずなのに。
やっぱり外で香織さんと会っているのだろうか。
恋人同士がするようなこともしているのだろうかと気になってしまう自分がいた。
欲求不満で襲われるのは困るため、解消してくれと頼んだのは私からだというのに。
今の私は少し変である。
お酒で酔っているのかもしれない、と酔いのせいにした。
「そっか。互いに望まない結婚だと聞いて、少し不安だったんだ」
「心配をかけさせてしまってすみません」
「どうして謝るの?俺は心配するだけで何もしてあげられなかったから」
「そんなことないです……!いつでも相談していいと言われた時は、本当に心が軽くなりました」
一度、本当に限界を迎えそうになり、優希くんに電話をしそうになった日を思い出す。
あの時、通話ボタンを押さなくて正解だったと思った。