望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


「もうすぐクリスマスだね〜」

「去年だっけ?恋人いない組でクリスマスパーティー開いたのって」


 気づけば周りはクリスマスの話をしていて、去年のクリスマスを思い出す。

 恋人のいないメンバーで集まり、パーティーを開いたのだ。悲しい会かと思いきや、とても盛り上がって楽しかった。


 その日の帰りは優希くんに家まで送ってもらったけれど、二人きりの時間はひどく緊張したものだ。


「今年のクリスマスは相手と一緒に過ごすの?」
「それって、私のことですか?」

「そうだよ」
「いえ、クリスマスの話すらしていないです」


 さすがにイベント事を二人で楽しむほどの関係ではない。


「じゃあさ、俺と過ごそうか」
「……え?」


 優希くんの言葉をすぐに理解できず、思わず聞き返してしまう。


「クリスマス、俺と二人で過ごすのはどうかなって誘いだよ」

「クリスマス、ですか……?」

「そうだなぁ……イルミネーションを見に行って、その帰りにご飯でも食べに行こうか」

「え、あの……!」


 突然の誘いに混乱し、少し大きめの声を上げてしまった。

 だって、クリスマスに遊びに行くのって、それはもう──


「俺と行くのは嫌、かな」

 優希くんは眉を下げながら笑い、軽い調子で尋ねてきたけれど、無理して笑っているように思えた。


 嫌ではないし、嬉しくて『行きたい』と即答していたはずだ。

 ──少し前までの私なら。

< 78 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop