望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「もちろん嫌ではないんですが……やっぱり結婚している身なので、二人で出掛けるのはダメかなと思うので、せっかくですがお断りさせてただきます。すみません」
クリスマスに優希くんと二人で、いわゆるデートというものをする。
少し前までの私は行きたいという気持ちが先行しつつ、後から浮気になるのではと不安になり、結局行かないという選択を取っていた気がした。
けれど今は、行きたいという気持ちより先に──罪悪感を抱いてしまった。
もし優希くんと二人で出掛けたらと考えると、郁也さんの姿が脳裏を過るのだ。
「そっか。残念だけど九条さんらしいね」
「私らしい、ですか?」
「一生懸命で真面目で、真っ直ぐな九条さんは誰よりも綺麗だと俺は思うよ。きっと相手も九条さんの良さに気づいて惹かれてきた頃じゃないかな」
突然の褒め言葉に恥ずかしくなり、頬が熱を帯びる。
優希くんに綺麗だと思われていたなんて……冗談かもしれないけれど、照れてしまう自分がいた。
「そんなことないですよ。相手にも可愛気がないっていつも言われるくらい、可愛くない発言ばかりしてますから」
特に郁也さんの前ではどうしても強気な態度をとってしまう自覚があった。
元々、彼が人を見下すような態度をとってくるのだ。私は悪くない……と思いたい。