望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


 飲み会の盛り上がりも徐々に落ち着き、終盤に差し掛かってきた頃、テーブルの上に置いていたスマホが不意に音を立て、画面を確認した。

 メッセージが一件届いていて、相手は郁也さんからだった。


【駅まで迎えに行くから終わったら連絡しろ】


 郁也さんには、事前に飲み会があることを伝えている。

 多分心配してくれているのだろう……けれど、言い方がどうしても上から目線に思えてならない。


【帰る時は連絡しますが、迎えはいらないです】


 子供ではないのだから、わざわざ迎えがなくても一人で帰れる。

 それに駅から家までの道のりのために、迎えに来てもらうのは申し訳ない。


「じゃあそろそろこの店は出るか。二次会行く人〜!」

 21時を過ぎた頃、今いる居酒屋は出ることにして、支払いを終えた私たちは外に出た。

 12月中旬の夜は気温も低く、寒さのあまり防寒具が必須の状況だ。


 これで終わりかと思いきや、メンバーの中の一人が二次会の言葉を口にして、何人かが賛成だと言っていたけれど、二次会に行けばかなり遅くなる思い、私はここで帰ることにした。

 名残惜しそうな顔をされたけれど、『旦那さんが待っているのか!』と、最後には酔っていた女の先輩にからかわれてしまった。

< 80 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop