望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


 反応に困ったけれど、とりあえず笑い、私は店から一番近い駅へ向かおうとした。


「九条さん!」
「……優希くん?どうしたんですか」

 てっきり優希くんも二次会へ行くものだと思っていたけれど、何故か私を追いかけてきて呼び止められる。


「俺も帰ろうと思って。家まで送っていくよ」

「えっ……そんな、悪いですよ!今からでも間に合うので二次会に行ってください」

「俺が勝手にやってることだから気にしないで。行こう」


 優希くんはそう言って笑い、結局二人で帰ることになった。

 途中、送らなくていいと何度も言ったけれど、優希くんは『お酒が入っている状態での夜道は危ないから』と何故か私が酔っている前提で話を進められてしまい、断ることができなかった。


 郁也さんには一応帰ることは伝えたけれど、返信は来ず、お風呂にでも入っているのだろうかと思った。

 優希くんと久しぶりに並んで歩いたけれど、今日はいつもより少し距離を空けることを意識した。


「あの、優希くん、本当に駅までで大丈夫です!」


 家の最寄駅に着き、やっぱり家まで送ってもらうのはダメな気がして、大丈夫だと伝えた。

 駅まで送ってもらっただけでも十分である。


「ここまで来たら家まで送るよ。そっちの方が俺も安心できるし」

「私はそこまで子供じゃないです!それに、さっきも言ったんですが……」


 心配してくれるのはありがたいけれど、優希くんとはもう、前のような関係ではいられないのだ。

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