望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


 その後、互いに口を開くことはなく、気まずい空気のまま家に到着した。


「送っていただきありがとうございました」
「ああ。家に上がれば早く風呂に入れ」

「……わかりました」


 郁也さんは私を見ることなく、冷たい口調でそう言った。

 先程から機嫌が悪いようだけれど、そこまで不機嫌になるくらいなら迎えに来なければ良かったのに。


 久しぶりに流れる不穏な空気に思わずため息を吐きつつ、私はお風呂に入った。


 どうやら郁也さんもお風呂に入っていなかったようで、私の次に入っていた。

 その間に髪の毛を乾かし、寝る準備を完璧にする。


 本当は郁也さんが上がる前に部屋へ行きたかったけれど、このままだと二人の間に流れる嫌な空気は長く続きそうで、彼と話をして和解しようと思った。

 和解といっても、私が彼に何かをした覚えはないけれど。

 少し前までは今の空気感が当たり前だったというのに、今になって二人の空気感が変わっていたことに気付かされる。


 リビングのソファで、特に興味のないバラエティ番組をぼうっと見ていると、郁也さんがお風呂から上がりリビングへとやってきた。

 彼は私がいることに反応をしないまま、当たり前のように私の隣へ座ってきた。


 今の様子から見て、避けられているわけではなさそうだ。

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