望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
唇から伝わる温もり。
角度を変えて何度も繰り返されるキスに、ほとんど息ができず、甘さと共に苦しさが増していく。
これほどの強引なキスは初めてで、息が乱れる中、彼にしがみつくのが精一杯だった。
「あの、郁也さ……」
限界がすぐそこまできていて、郁也さんを名前を呼ぶために口を開いた途端──突然口内に生温かいモノが入ってきた。
体験したことのない感触に驚き、咄嗟に彼を突き飛ばす。
彼も私が受け入れてしまっていたため、油断していたのか、すぐに離れていった。
「どうして、こんなこと……!」
「夫婦として当然の行いをしただけだ」
「ふざけないでください!好きでもない女とキスができるなんて軽い人ですね!本当に最低……!」
今度こそ立ち上がって彼と距離をとり、これ以上はリビングに居られないと判断した私は階段を上って寝室に向かう。
郁也さんは本当に最低だ。
他に愛する人がいると自分で言っていたくせに、好きでもない私にキスをしてくるなんて。
それも触れるだけの優しいキスではなく、少し強引なキスだった。
それに最後には、唇を重ね合わせるだけのキスの先、刺激の強い大人のキス……舌まで入れられようとしていた。
私が慣れていないのを良いことに、弄んできたのだ。