望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。


 キッチンのカウンターと隣接する形で置かれてある4人掛けテーブルに私の分のサンドイッチと、ラップをかけている郁也さんの分を置く。


 ようやく一息吐ける朝ごはんの時間がやってきた。

 サンドイッチを口に頬張りながら、広いリビングを見渡す。


 この家はとにかく無駄に広いところが多い。

 リビングの中央には3人掛けのソファ、その少し前に折り畳み式の四角テーブル、奥の壁側に大きなテレビが一台、テレビ台の上に置かれている。


 それでもなおリビングにはかなり余裕があり、まるで自分だけが世界から取り残されたような気分になった。


 サンドイッチを食べ終えた後は食器を片付け、洗い物をして再び洗面所へと向かう。

 洗面所の大きな鏡の前に立ち、吊り上がり気味の二重目がケバくならないよう、ナチュラルなメイクを意識して外行きの顔を仕上げていく。


 今日は久しぶりのアルバイトがある日のため、いつもより気合を入れてメイクをしている自分がいた。

 ここ2週間は新生活にバタバタしていたため、アルバイトを休ませてもらっていた。


 そのため、久しぶりのアルバイトが楽しみだった。
 スマホに送られてきたシフト表を確認した時、“あの人”と被っていたから余計に。

 正直、気まずさもあるけれど、何より会えることが嬉しい。

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