望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「……何ですか」
「美味しそうに食べるんだなと思っただけだ」
「見ないでください、恥ずかしいです」
恥ずかしくなって俯くと、郁也さんが私を見てふっと小さく微笑んできた。
「ああ、そうだ。お前、クリスマスは予定あるのか?」
突然クリスマスの予定を聞かれて驚いたけれど、優希くんの誘いは断っていたため、素直に「ありません」と答えた。
「その日は何も予定を入れるなよ」
「どうしてですか?」
郁也さんが遠回しに何を伝えようとしているのか、正直伝わってはいるけれど、自分から言って期待しているように思われるのも嫌なため、理由を尋ねた。
「今まで買い物の他にお前と出かけたことはないからな。たまにはお前と出かけた方がいいと思って」
「それでわざわざクリスマスの日に?」
「……悪いか」
「いえ。わかりました、予定を空けておきます」
「ああ。それで、行きたいところはあるか」
「そうですね……やっぱりイルミネーションを見たいです」
クリスマスや冬といえばイルミネーションである。
「そうか、わかった」
わかったということは、イルミネーションを見に行けるのだろうか。
そうだとしたら、綺麗な景色が台無しにならないためにも、不穏な空気が流れないように気をつけなければ。
買い物以外で郁也さんと出かけるのは初めてだつたけれど、スケジュール帳のクリスマスの日に丸をつけるくらいには楽しみにしていた。