望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
第六話 婚約指輪
クリスマス前日。
私はクリスマスモード全開の街を一人で歩いていた。
日没が近い空はオレンジ色に染まっていて、高い場所から見ると綺麗な景色が広がっているのだろうと思った。
私は今日、大学で講義を受けた帰りに、クリスマスプレゼントを選ぶため繁華街に来ていた。
プレゼントの相手とは、もちろん郁也さんである。
いくつかの店に足を運んで探してみたけれど、何が良いのかさっぱりわからない。
中でも一番私を困らせているのはプレゼントの質である。
以前ショッピングモールに行った時、何度も“ブランド物”を口にしていたのだ。
彼自身もブランド物が好きな気がしてならない。
偏見だけれど、安物だと嫌な顔をして『要らない』と言ってきそうだ。
「うーん……」
一体郁也さんは何をあげれば喜ぶのだろうか。
マフラーや手袋は無難だし、お酒は郁也さんの好みがわからず、口に合わないものを買って嫌な顔をされるのも……というより、正直私から貰って喜ぶ顔が浮かばない。
「あっ」
時折、気になる服や化粧品を見つけて寄り道しながらも、郁也さんのプレゼントを探していると、ネクタイの専門店を見つけた。
ネクタイ……これは良さそうだ。
店内を歩いてネクタイを見ていると、ストライプの紺色ネクタイが目に留まる。