望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
「そんなに楽しかったのなら、明日も会えば良いじゃないですか……」
「何か言ったか?」
小さな声で呟いた後、今度は郁也さんを睨みつけ、溢れ出す感情を言葉にして彼へとぶつけた。
「無理して私といるくらいなら、香織さんと過ごせば良いじゃないですか……!」
「何で急に香織が出てくるんだ」
「私は明日、優希くんと出掛けることにしたので、遠慮せずに郁也さんも香織さんと会って大丈夫ですから」
「おい、待て」
郁也さんの顔も見たくないと思い、部屋から出ようとしたけれど、彼に腕を掴まれてしまう。
「いきなりどうしたんだ」
「いきなりではありません。ずっと考えていました。私たちは仮面夫婦なのでクリスマスに出掛ける必要はないって」
「昨日は了承していただろう」
「我慢していたんです。もういいですか」
「嘘を吐くな。昨日までは……」
「来ないでください!もう嫌なんです何もかも」
涙が溢れてしまいそうで、バレないためにも腕を振り払って部屋から寝室へと移動する。
閉めたドアを背もたれにして床へと座り込んだ。
私ばかり振り回されているようで、惨めな気持ちになる。
きっと郁也さんは今の私を見て子供っぽいだとか、面倒だとか思っているのだろう。
いっそのこと冷めた生活に逆戻りすれば良いと思いながら、頬には涙が伝っていた。