変りたい自分
 夕方になって昨日と同じ時間に咲來が来た。
「お待たせ。今日は何もなかったよ」
 咲來に何もなかったことのホッとした。
「ならよかった。明日は行けるようになりたい」
 学校には行きたい。
 矢部君がどうしているのかが気になる。
「明日の朝に歩楓の体調によるね」
 そういって咲來は帰っていった。
 この会話が一週間も続き、私は一週間も学校に行けていない。
 一週間すれば担任の先生から電話がかかってきたが、私は出たくなかったので継母に出てもらった。
 担任の先生は心配していると言っていたが、保護者の前だからそう言っているのだろうが、保健室の先生と話せば少しは変わるかもしれないが連絡手段がない。
 それに一週間も矢部君君に会えないことが寂しかった。
 そんなことを考えながらのt-トを勉強していると私は机でいつの間に眠っていた。
 起きた時にチャイムが鳴ったので、急いで降りていった。
「歩楓。そろそろ矢部君に会いたいんじゃない?」
 玄関のドアを開けると咲來が言った。
 さっき考えていたことなので、また咲來に心を読まれたと思いドキッとした。
「思ってるけどそれがどうしたの?」
 咲來は本当に私が思っていることを毎回当てる。
「じゃじゃん」
 そういって咲來の後ろからどうやって隠れていたのかわからないが矢部君が出てきた。
 私は驚いて状況が使えないが、矢部君の周りの女子がついてきているかもしれないと思ったので二人に上がってもらうことにした。
「俺までお邪魔しちゃってごめん」
 いると思わなかったから、驚いては行ってもらうのが強制になった。
「気にしないで。私も矢部君に会いたいなって考えていたから」
 自分で行った後に何を言ったのか理解をした。
 その間咲來と継母はニヤニヤしている。
「そこ二人何ニヤニヤしてるの」
 矢部君が顔を赤くしているのをはじめてみた、意味は二人ではないのでじっくり見ている余裕がない。
 二人の視線はからかうようだったが咲來が何か思い出したようなそぶりをしている。
「そういえば早く帰らないといけ何だった。矢部、後は頼んだ」
 咲來が帰る用意をしているとき継母もわざとらしく何かを思い出したそぶりを見せた。
 流行っているのか?
「私も買い物に行かないと。咲來ちゃん送っていくから遅くなるかも」
 そういって二人は出ていく準備をして、出ていった。
 二人になって何を話していいかわからない。
 一週間もあっていないので二人でいることも少し恥ずかしさがあり、私の頭の中がパニックになっている。
「久しぶりだね、大松さん」
 矢部君が気にかけて話してくれた。
「そうですね。一週間何もなかったですか?」
 矢部君が今のじょうっ用をどう受け取っているのか気になるが、あまり聞けることではなかった。
「そうだね。特に問題は起きなかったよ。柿沢さんにも被害が及ぶことはなかったみたい」
 そう話している矢部君だが、大分疲れているように見える。
 咲來に被害が言ってないが、矢部君君にはいってるかもしれないけど、私が言ったら余計に被害が行くのでは?
「矢部君さん。疲れていますよね。私が行かないのも原因かもしれませんが、矢部君さんの周りの女子は少し図に乗っていませんか?」
 学校に行っていない私が何かできるわけではないが、どこかで心を休ましてほしいと思う。
「そうなのかな? 最近遊びの誘いが多いし、毎回強制だったような気もするけど。まぁ、僕だけの被害ならいいかな」
 そんな生活をしていたら、勉学もだけど矢部君の体がもたない。
「それは疲れるのも当たり前じゃないです。何か予定作って帰ろうとか思わないんですか?」
「う~ん。あんまり思わなかったかな。大松さんがいないとどうしても、学校にいるのが楽しくなくて」
 そういってくれるのはうれしいが、私が行かないから彼女たちにの誘いに行くのは矢部君が倒れるのではと心配になる。
「それなら毎日放課後ここに来てください。そうすれば、予定ができますので女子と遊ばなくてもよくなります」
 自分でも何言っているかわからなかったが、少しでも休んでほしかった。
「毎日、放課後来ていいの?」
 矢部君の顔は嬉しそうだった。
 そんなに彼女たちの相手に疲れがたまっていたんだ。
「いいですよ。ノートを置きに来るだけでもいいです。気が変わって女子と遊びに言っても構いません」
 私にもうれしいことだ
 少しだけでも矢部君と会えるのだから。
「毎日来るよ。大松さんにうざいって言われるか、学校に来るまで来るよ」
 そういって話していると継母が返ってきた。
 話の霧がちょうどよかったので、矢部君君は帰ることとなった。
 本当は外に出て送り出したかったが、自分の川田が拒否をしているので、玄関でお別れをした。
 次の日から放課後になるのが私は楽しみだった。
 次の日の朝、咲來が私の家に来てくれた。
「昨日あの後何かあった?」
 咲來は帰っていたので矢部君が毎日放課後に家に来ることは知らない。
「毎日矢部君と会えることになったよ」
 学校に行かないのに会っていいのかと矢部君が帰った後悩んだことは黙っておくことにする。
「よかったじゃん。じゃ、私は今日で放課後は来ることないかな?」
 咲來に朝しか会えなくなるのが寂しかった。
 学校も行かない人がこんなことは言うのは、完全にわがままだ。
「わがままかもしれないけど、部活がない日は来てほしいかな」
 咲來にこんなこと言うなんて自分でも追わなかった。
「わがまま言ってくれるなんて、歩楓。もっと言っていいよ、かなえれるものはかなえる」
 わがまま言われたはずなのに咲來は嬉しそうだった。
「うざくなったり、嫌ったりしない?」
 わがままは言うことは自由だが、聞いてもらおうとすると大体が嫌われる。
「可愛いい~。ごめん。うざうなったりしないし、そうなりそうならちゃんと教えるからね?」
 咲來にはどんな風に私が移っているのだろう?
 それでも思っていることを口に出して喜んでくれるなら少し頑張ろうかな?
「わかった。なるべく思っていることも口にするようにする」
「応援する。じゃ、行ってきます」
 今からでも放課後になるのが待ち遠しかった。
 継母との距離の取り方もなんだかつかんできたので、あとは学校に行ければと思っているがそこだけはそんなに簡単に行くことではなかった。
 夕方になって時計を見た。
(この時間なら、今授業が終わったところかな?)
 そんなことを考えて時計を眺めていると私の家のチャイムが鳴った。
 誰が来たのかと思っているがこの時間なので継母の友人か、近所の人だと思い下にありることはなかった。
 だけど継母に呼ばれたので何のかと思い降りていくと、玄関に立っていたのは矢部君だった、
「早くない? 授業ちゃんと出て来たよね?」
 そこには矢部君がいた。
「ちゃんと出てきたよ。でも早く会いたくて終礼が終わった瞬間に走ってきちゃった」
 昨日とは変わって笑顔で来てくれたことはうれしく思ったが、少し心配にもなる。
「そんなに急いで来なくてもいいのに」
「いいんだ。俺が来たかったし、大松さんは会いたくなかった?」
 あざとくいってくるので私は可愛いと思ってしまった。
「会いたかったです」
 こんな会話をしているが、まだ私の気持ちを伝えていない。
 なんだか付き合っているカップルのような会話をしているが私はまだ矢部君にこの気持ちを伝えていない。
「よかった。今日のノート」
 ノートを受け取るとこの後は矢部君の自由だ。
 でも帰るのはなんか寂しいなとか少し考えていた。
「ありがとう」
 なんだか恥ずかしくなって目を合わせても可をお赤くしてしまう。
 お茶を出しに行こうとキッチンに行くといつもいるはずの継母がいなかった。
 出かけるとは聞いていないが、昨日と一緒で気を利かしてと言って出かけたのかもしれない。
「矢部君、お茶でいいかな?」
 自然に上がってもらえたことにほっとした。
「うん。ありがとう。そういえばお母さんは?」
 継母のことをお母さんと認めるのは少しだけ、気が引けるがそんなことは言ってられない。
「出かけたんじゃないかな? わからないけど、大丈夫よ。夕食時になったら帰ってくると思うから」
 そんなに心配しなくていいよと言った。
「だったら添えまでお邪魔してもいいかな? 一人でいた時にあの人たちが着たら大変だし」
 どこまでも矢部君のことを苦しめている気がしているが、彼女たちはそれに気づいていないのが悲しい。
「そうだね。お願いしてもいいかな?」
 矢部君は今日の学校の授業のことや、矢部君の周りの女子の話をしてくれた。
 話を聞いているだけでは何も拒否半などは起きなかったが、対面すると恐怖が襲ってくる。
 殴られていた時には何もお思わなかったが、殴られていた時に言われた悪口が拒否反応を起こしているのだろう。
 それでも和えの時よりメンタルは強くなっているので、声が出せなくなくなるなんてことはない。
 そのあとも矢部君と行きたい場所の話をしていると継母が返ってきた。
「じゃ、俺は失礼しようかな」
 少し寂しかったが、いつまでも引き留めるわけもいかないので送り出した。
 玄関までしか送れないことが悔しかった。
出てみるとそこには矢部君の周りにいる女子がいた。
「なんで……」
 怖くなった私は玄関に入ったが矢部君もいるとは思ってなくて、固まっていたので腕を引っ張手玄関に引き込んだ。
 玄関にいる私たちを不思議い思った継母が話しかけてきた。
「そんなところで何している?」
 矢部君が今出ていくと状況がもっとまずくなると思いとっさにした行動だった。
「外にいつも矢部君の周りにいる女子が玄関の前にいたの」
 それだけだと別に何もないと思うので矢部君が私の話を詳しく継母に話してくれた。
「僕の周りにいる女子生徒が、歩楓さんが学校にいけない理由なんです。僕も注意したりしているんですが、なかなか聞いてくれなくて、毎朝家のあえにいるっていうこともあって」
 継母は一つで毛その子たちに心当たりがあった。
「なるほど。歩楓ちゃん。もしかして咲來ちゃんの件もそのお母さんがやったってこと?」
 私は首を縦に振ることしかできなかった。
 家にいるはずなのに怖くて仕方が。
「わかったわ。矢部君もこのまま出ていったら大変なんでしょ? 私が少し話してくる」
 何をするのかと聞きたかったが、今は怖くてそんな声も出なくなっていた。
 継母が出ていくと涙が出てきた。
 自分では気を貼っていたのに継母に心配をかけたくないとどこかで思っていたのか今までは出てこなかったのに。
 矢部君の前で泣き固くなかったが、なかなか収まってくれないので、矢部君に慰められた。
 しばらくすると涙も止まり、継母が入ってきた。
 継母が入ってきた時に少し外が見えたが女子の姿がなかった。
「これで大丈夫だと思うけど、何かあったらすぐに行ってね。これ、ここの番号だからいつでもかけてきて」
 継母がこんなに強いとは思わなかった。
「ありがとうございます。歩楓さん、もう大丈夫かな?」
「ありがとう。ごめん急に泣いたりして」
 矢部君は気にしないでと残して帰っていった。
 ここまで知られたら継母には話さないといけないと思ったので、明日のお昼に話すことにしょうと何も言わないでいた。
 次の日、一応咲來にも昨日起きたことを話した。
「そんなことが起きてたの!?」
「お母さんが何とかしてくれたから、今は何ともない。今日は家の目にもいなかったし」
 私がお母さんというと咲來は嬉しそうだった。
「そっか。じゃ、お母さんと今日はゆっくり話して。あと、仲良くね。嫌なことはちゃんと言わないとわからないからね」
 咲來には母のこととか継母のこととかで本当に心配かけてばっかだな。
「頑張る。もう行かないと時間やばいんじゃないの?」
 時計を見るとは知れば間に合うぐらいの時間だった。
「そうだね、じゃ、行ってきます」
 咲來が毎回行ってきますを言うのでこの家から出て行っているみたいだなと多いリビングに私は戻った。
 リビングでは継母がもう座って待っていた。
「話があるんだよね?」
 なんでわかるのかわからなかったが話したいことがあるのは本当なので、継母の前に私も座った。
 今まであったことを教えた。
 車で送ってもらった時に病院に言っていたことを話した。
「それなら歩楓ちゃんが学校に行けるまで家にいていいと思う。成績のことや勉強のことは後でどうにかなるから」
 はじめのイメージと大分崩れた。
「ありがとう」
 少し継母と仲良くなれたような気がした。
 夕方になると、矢部君が家に来てくれた。
 昨日よりも遅かったが、これが普通の時間なんだろう。
「歩楓さん。お待たせ」
 名前呼びになっているのが、どきどきしたが気づかれないように隠すが、隠せていないかもしれない。
「来てくれるだけでもうれしいよ」
喜んでいると咲來が矢部君の後ろから出てきた。
「今日は私もいるわよ。部活ないから来たけど、お邪魔だったかな?」
「そんなことない。私も会いたかったけど、お母さんが一番会いたがってた」
 たまたま継母が通りかかった。
「もう歩楓ちゃんったら、恥ずかしいじゃないの」
「じゃ、歩楓ママ。お菓子のつかり方教えてよ。この和え言ってたので気になるのがあったんだ」
 咲來と継母は二人で話しながらリビングに向かったので、私は矢部君君を自分の部屋に案内した。
「何もないところだけど、適当に座って待ってて。お茶もらってくるから」
 矢部君君は落ち着かなさそうにしていたが、私自身も矢部君君が部屋にいるかどう対応すればいいかの焦っている。
「うん」
 咲來がいれば少しは落ち着いていたのかもしれないが、自分の好きな人の前で変なことして何明かしてしまったら、嫌われるかもと思いつつリビングに行った。
 リビングでは咲來と継母が話に熱が入ったみたいなのでそっとしとこうとリビングをていこうとしたとき、二人はキッチンに立った。
 私は二人の時間だからと気づかれないようにドアを閉め、自分の部屋に戻った。
「お待たせしました。お茶でよかったですか?」
 自分の部屋に矢部君を招くとは思っていなかった。
「ありがとう」
 何か話題と思い咲來ほどリビングで見たことを話した。
「さっきお茶を取りに行ったとき二人の話に熱が入ったみたいで、出てくるときにキッチンにたってよ」
「そんなにあの二人気が合ったんだ」
「意外だよね」
 本当に意外だ。
「そうだ、ノートっすごくわかりやすいよ」
 話す話題を探すとこんなことしか思いつかない。
「そうかな。でもよかった。そうだ、ノートだけでわからないところとかない? 教えれると思うけど」
「それなら、お願いしてもいいかな? ここが分かりにくくって」
 矢部君はそれならと言って勉強を教えてくれた。
 矢部君の教え方は授業を受けていなくても分かりやすく、私でもすぐに理解ができた。
「ほかのわからないところも聞いて、教えるよ」
「ありがとう」
 二人で勉強をすることになった。
 一人でしているとやらないといけないものになるが、矢部君君としていると少しだけ楽しいものになる。
 しばらく勉強をしていると、咲來が私の部屋のドアを開けた。
「歩楓、ケーキで来たけど食べる? 矢部君も食べていいわよ」
 咲來がお菓子を作るとは思っていなかった。
「咲來が作ったの?」
「もちろん。下で待っているからかたずけたら、来てね」
 咲來はすぐに下りていった。
「俺も食べていいのかな?」
 矢部君は変なところを気にしているような気がするが、自分も変わらないかも。
「いいよ。咲來も食べていいって言ってたし、少し休憩も兼ねて食べよう?」
「じゃ、行こうかな」
 矢部君君は遠慮していたが、私は咲來が作ったケーキを食べたくして仕方がなかった。
 咲來とこんな風になるとは思っていなかったので、うれしくも感じている。
 リビングに行くと机の上に咲來が作ったケーキがおいてあった。
「これ、咲來が作ったの!?」
「うん。歩楓ママに手伝ってもらったけど、初めてにしてはいい出来じゃない?」
「これで初めてなの? すごい、咲來お菓子作りの才能あるんじゃない?」
 咲來の意外な才能に驚いた。
「そうかな? 実は小さいころの夢パティシエだったんだ」
「そうなんだ。知らなかった」
 夢が少しかなったのではないかと私の中で勝手に思っていた。
 今思うと咲來のことを何も知らない。
 今から知っていくのって遅いのかな?
 そんなことを考えながら、ケーキを食べていると考え事をしているのが矢部君にはわかるのか、小さな声で話しかけてきた。
「歩楓さん、何か悩んでいるみたいだけど、大丈夫?」
 矢部君は毎回些細なことで悩んでいるとわかっても悩んでいる私に気づいてくれる。
「大丈夫だよ。咲來のことも矢部君君のことも私は何も知らないなって思って。矢部君とかには迷惑しかかけていないのに」
「そんなことないよ。俺はやりたいと思ってやっていることだし、人のことを知るのに遅いも早いもないよ」
 矢部君の言葉マイ下記心に響く。
「そうですね。これから頑張って知っていきたいと思います」
 矢部君君と話していると、前に座っていた咲來と継母がニヤニヤして何かを話していた。
「私たちもいること忘れないでよね。二人の世界に入ってくれるのは構わないけど」
そんなに二人ので買いに入っていると否定しきれないところもある。
「二人の世界に入ってないもん。それに咲來にも関係あることだよ」
「私にも関係があるの? 二人のことじゃないの」
 咲來は自分が関係しているとは思っていなかった。
「違うよ。それにそこで私は関係ないって顔しているお母さんも関係はあるんだからね」
「え!?私も関係あるの?」
 継母も驚いていた。
「ここにいる三人のこともっと知りたいって思っているけど、今からじゃ遅いかなって話をしてたの。イチャイチャするようなことなんてしてないよ」
 咲來と矢部君は何だか子供を見るような目立ったが、成長したねと背近位言われることはうれしかった。
「そういうこと」
 咲來が納得している横で継母は泣いていた。
 尊雄事態にどう対処していいのかわからず私があたふたしているだけだった。
「なんで泣いてるの? 今話した中で泣く要素なんてないよね?  なんか私悪いことでも言った? 気に障った?」
 心配になって思っていた疑問が全部口から出ていた。
 継母は驚いた顔をしていたがさっきよりも涙をこぼした。
「そんなに泣かないでよ。態度悪かった分、距離を取り戻させてほしいの。」
 継母の涙を見ていると私まで涙が出てきた。
 咲來や矢部君空もいる中で泣くなんてと思っているが涙は言うことを聞いてくれない。
 矢部君と咲來はどうすればいいのかわからなくなっていた。
 ケーキを食べ終わり私の涙が止まったころに咲來が矢部君君に話を振った。
「そういえばさっきから気になっていたんだけど、歩楓のこと名前呼びだったよね? いつから?」
 咲來は少しの変化を見逃さなかった。
「昨日から。この家の中にいる人はみんな大松さんだしわかりにくいかなって思って。だから名前呼びにしたけど、嫌だったかな?」
 私も気にしていたが、ツッコんでいい中分からなかった。
「い、嫌じゃないです」
 気にしていたが、聞いていいのかわからなかったので気にしないことにしていたが、咲來が気づいてくれてよかった。
「なら、俺の呼び方も変えていない? ずっと矢部さんって言われると距離を感じるし。いやならいいんだけど」
「嫌じゃない。でもどうやって呼べばいいかわからなくて。なんて呼べばいいですか?」
 急に変わると変かなと思って変えるタイミングを失っていた。
「樹って呼んでよ」
「呼び捨て。せめて樹さんじゃあだめですか?」
 樹予備が嫌なわけではないが毎回恥ずかしくて呼べなくなる気がした。
「わかった。樹君だったらいいよ」
 私の中のハードルが上がった。
 だけどずっと矢部君さん予備だとなんか申し訳ない気もするし、確かに距離を感じる。
「い、樹君?」
「なあに?」
 このやり取りをしていると咲來と継母はまたニヤニヤしだした。
 私は二人のことをツッコむのはやめた。
 樹君と勉強に戻ろうとしたが、時間もいい時間だったので咲來と樹君は帰ることとなった。
 私が学校に行けていないが、二人がこうして家まで来てくれることがうれしかった。
 二人に何かあった時に力になれたらと思うが、今の私には何もできない。
 そんなことを考えていると、悔しい気持ちになったので、明日は頑張っていってみようかなと思う。
 いきなり教室のは無理だけど、保健室にいていいなら一日をそこで過ごしてみようかなとか考えながら私は寝ていった。
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