変りたい自分
「歩楓おはよう。今日は教室入るんだよね? 大丈夫? 何かあったら行ってね。授業中で言えなかったら容赦なく矢部に言うんだよ。言いにくかったら桜も聞いてくれると思うから」
「ありがとう。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。一人にはならないようにするし」
そういって教室のドアの前で立ち止まってしまった。入ってどんな反応されるかが怖かったが、ここまで来たのだから入るしかない。
 ドアを開けると咲良ちゃんが近くにいたので気づいてくれた。
 樹君と話すのはまずいかと思ったが、樹君のほうから話しかけてくれた。
「おはよう。歩楓さん」
「おはようございます。樹君」
 樹君の周りの女子がにらんでいるのが見えて体が震えそうになったが、咲良ちゃんを見ると落ち着いた。
「歩楓ちゃん。今日はなるべく一緒にいよ!」
 そういってもらえることが心強かった。
 一日咲良ちゃんと一緒に手を出されることは何かされることはなかったが、にらめれる視線だけはなれなかった。放課後は咲良ちゃんは部活があるからと保健室で、咲來を待つことになった。
 咲來を待っていると保健室に樹君が来た。
「歩楓さん。今日はなかなか話せなかったけど、朝挨拶してくれてありがとう」
 樹君とあまり話せなかった。
「樹君は何もしていないので大丈夫です。……あの子の後何か予定あったりしますか?」
 家に誘うのは初めてだったので、さそおうか迷っていたがもっと話したいと思った。
「ないよ」
「なら家に来ませんか?咲來も来ると思いますし、樹君ともっと話したいですし」
 断られると、と考えることをやめた
「行っていいの? ありがとう。僕ももっと話したかったからうれしいよ。それに歩楓さんに誘ってもらえるなんて」
 樹君は喜んでくれた。
 私は家に誘っただけだったが、こんなに喜んでくれると勇気出した買いがるなと思った。
 二人の世界で話せいていると咲來と先生がそろそろという感じで声かけてきたので、私の家に向かうことにした。
 家に着くと継母と咲來がまた話し始めたので、私の部屋で樹君と話をした。
「前は勉強の時に入ったけど、歩楓さんらしい部屋だね。休みの日とか何してるの?」
「本読んでます。最近は外に出ることもできないのでここで読んでますが、たまにカフェになど行ったりして、本読んでます」
 カフェに樹君が食いついた。
「歩楓さんのおすすめのカフェってある?」
「三駅先の駅なんておすすめです」
 興味を持ってくれるとは思わなかったのでうれしい。
「歩楓ちゃんが自由に行けるようになったら今度行こうよ」
「学生が行くようなところではないですよ? おじいちゃんとかおおいし」
 それでも喜んでくれることがうれしかった。
「いいよ。前も言ったけど、歩楓さんのこと知りたいから、歩楓さんが好きと思うものに触れたいんだ」
「わかりました。じゃ、行けるときに」
 樹君とどこかに出かけれる約束ができたことがうれしかった。
 これはと出先に報告しようと思うことだった。
「歩楓、矢部。またお菓子で来たよ。あら、お邪魔だったかしら?」
 歩楓が何を感じ取ったのかわからないが、からかっていることだけはわかった。
 そこをスルーして私はお菓子を食べにリビングに行った。
「今日は、二人で何お話をしてたの?」
 継母も気になっていたのか知らないが、みんなが集まって一言目がそれなのはどうにかしてほしい。
 それにそんな話をするなら樹君がいない前でやってほしい。
 私は恥ずかしくて黙っていると代わりに樹君が話してくれた。
「今日は歩楓さんの休日の過ごし方を聞いてました。それで歩楓さんが自由に外に出れるようになったらカフェに行こうと話しました」
 それを言うと咲來と継母がニヤニヤした。
「よかったじゃん。ずっと矢部と出かけたいって言ってたもんね」
 咲來が言うが私はそんなことを言った覚えがない。
 話したいとは言ったことがあるが、どこかに行けることまで考えていなかったのに何で?
 そんなことを考えると咲來は親指を立てた。
 樹君法を見ると樹君の顔は赤くなっていた。
「樹君大丈夫? 顔赤いけど」
 彼は手で顔を隠した。
 私は樹君の今の気持ちがなんとなくわかる気がした。
 だって、からかわれた時恥ずかしくなるのは今もだもん。
 自分の顔が赤くなってないか心配だったが、何も言われないので赤くなっていないのだろうと思う。
 お菓子も食べてしばらくするといい時間になっていた。
「じゃ、おいともしようかな。明日もまだ学校あるし。歩楓じゃまたあしたね」
 二人が出ようとしたときチャイムが鳴った。
 ドアを開けようとしていた咲來はドアノブから手を離した。
 私と樹君は府議に思ったが継母が出たインターホンからの声で二人とも固まってしまった。
「ここに今樹君がいるんでしょ? 出してよ」
 玄関にいると何か起こった時に対処できないと思い咲來と樹君には私の部屋にいてもらうことにした。
 私は一応継母が相手してくれているので、状況を横で見ることにした。
 継母は心配してくれたが、これ以上何怒った時にすぐに対処できるよう携帯をもって横で見ていた。
「ここにはいませんけど。何か用ですか?」
「いるのはわかってるの。早く出して」
 継母の話を聞いていない。
「いないのに出しても何もないのですけど。このままいられては困ります」
「なら樹君が来るまでここにいさせてよ」
「樹君の家ではないので、来ませんよ。おかえりください」
 そういっても彼女たちは帰ろうとしなかった。
 それよりか玄関に向かおうとしていたので、私は鍵を閉めに行った。
 ドアが開く前に鍵を閉めれたので開かないとあきらめてはくれたが帰らなかった。
「おばさん。早く樹君出してよ。ここにいる奴なんてかばっても仕方ないでしょ」
 時国何かされたわけでは荷が声の音量とか近所迷惑だった
「これ以上いられるなら警察を呼ぶしかありません。呼ばれたくなかったら帰りなさい」
 警察沙汰にはしたくないのか、駆け足で彼女たちは帰っていった。
 その姿を窓から見ていたのか咲來たちが下りてきた。
「帰ったみたいね。歩楓ママ迷惑かけてごめん」
「柿沢さんじゃなくておれが悪いよ。すみません。もうここには来ないようにします」
「そんなこと言わないで矢部君が来てくれて歩楓ちゃんが前より嬉しそうにしているところたくさん見れているから大丈夫よ。それに咲來ちゃんも矢部君も悪くないよ。あれは彼女たちが悪いから二人がいいならいつでもここにきて。今日は何かあったらいけないし車で送るわ。歩楓ちゃんもいく?」
 私は首を縦に振った。
 二人を送った後、スーパーにより買い物をした。
 外にいるのも怖かったが今日は何もしてこないかと思い久しぶりの外を楽しむことにした。
 そのあとは学校に通っていても何かされることはなく、一週間が過ぎた。
 一週間も通うと私も慣れてきて普通の生活が送れると思っていた。
 一人になるときはなるべく保健室にはいくようにしているが、それでも樹君と話すこともできるし、咲來と咲良ちゃんと話すこともできた。
 何もなく送っていけると思った放課後。
「大松。お前の担任が呼んでるぞ」
「わかりました」
 私は職員室に向かった。
 職員室に担任の先生が下り、用件を聞くと教室に咲來が待っていると言われた。
 咲來なら部活にいるはずなのにと疑問に思ったが、咲來が読んでいるので行かないわけにはと思い教室に向かった。
 保健室に荷物を思いて来たので私は手ぶらで教室に名行ったが、そこには誰もいなかった。
 教室を出ようとすると出ようとした反対側から樹君の周りにいる女子が入ってきた。
「何逃げようとしてんの」
 私は彼女たちを目の前にすると声が出なかった。
 逃げようとしていた体は、逃げれば荷をされるかわからなかったので動くことができなかった。
「樹君と別れろよ。前みたいなのが樹君と釣り合うはずがないだろ」
 何も言わない私に彼女たちは調子に乗ったみたいだった。
 悪口をまた言われたが、内容が前と同じだったのであまりダメージがなかったことに自分でも驚いている。
 少しこの状況になれたのか声が出るようになった。
「あのそれだけならも行っていいですか? それと私は樹君と付き合ってません」
 なんでそうなったのかわからない。
「何勝手に樹君呼びしてんだよ。付き合ってなくてもお前が一緒にいるだけでイライラするのだから関わらないようにし楽しさ、なんでまた学校に来てんだよ」
 何も言い返す言葉が見つからなかった。
 黙っていると彼女たちの一人がハサミを出してきた。
「そのはさみで何をするんですか?」
 彼女たちは何をしようとしているのかわからなかった。
 でも私は嫌な予感しかしなかった。
 逃げようとするとはさみを持っていない人が私の動きを止めてきた。
「やめて」
 彼女たちは笑っていた。
「いいじゃん。服を切るわけではないんだから。紙なんだし、生えてくるんだから」
 何も言えなかった。
 母と一緒の髪を切られるのは嫌だ。
 私は声が出ない代わりに振り切ろうと動いたが二人係で抑えられたので逃げることができなかった。
 ハサミ持っている女が髪をつかんだ。
 逃げれないまま彼女に髪を切られた。
 私は絶望で何も言葉が出てこなかった。
 私の今の顔を見てすっきりしたのか教室を出ていった。
 私はしばらく動くことができないままいると教室の扉が開いた。
「歩楓。もしかしてあいつらに髪切られたの?」
 何も言葉が出なかったが咲來が怒っているのは咲來が黙っていても怒っていることはわかった。
「咲來。保健室に荷物取りに行こ?」
 保健室に行くと先生が焦っているようだった。
「柿沢、何かあったのか? 大松のほうが落ち着いているっておかしい状況にもほどがあんだろ」
 先生も今の状況がつかめていないようだった。
 だけど私も何が起こったのかあたまの中で整理はできていないが、咲來のほうを何とかしないといけにと思い冷静になれている。
「咲來が静かに怒っているところなんて見たことないのでとりあえず先生どうにかしてください」
 先生は戸惑ったがさきをなんとかしてくれた。
 咲來の怒りが収まるまで時間はかからなかったが、その間に私は頭の中を生入りで来た。
 終わった先生が呼びに来ると私は泣いていた。
「大松。お前のその髪どうする?」
 髪を切られたことを忘れていた。
 咲來のことのほうが心配になって自分のことを忘れていた。
「とりあえず整えたいと思っていますが、自分ではできないし」
 このまま帰ると継母が何するかわからないので、このままで帰るわけにもいかない。
 それにこの格好で帰るのは恥ずかしいので学校から出たくない。
「お前が嫌じゃないなら切ってやれるが」
 先生の意外な一面に驚いた。
 そんなことまでできるんだと思ったが、今は先生しかできる人がいなささそうだったので、先生にお願いすることにした。
 髪の毛がセミロングじゃなくなったがボブでもいいかなと思い始めた。
 というか受け入れるしかなかった。
 亡くなった母がセミロングだったのでその長さにしていたが、切られてしまったのはもう仕方ないと思っていたが涙が出てきた。
「歩楓。ごめんね守ってあげられなくて。今日、部活に行かなかったらこんなことにならなかったのに」
 咲來は悔しそうにしているが私は自分以外人がいなくて思っている。
 自分だけが被害を受けて終わるならそれでいいと思っているからだ。
「先にお願いがあるんだけど、このこと樹君には言わないでね」
 咲來は何も言ってくれなかった。
 そのあとは先生に送られ家に帰った継母に色々聞かれたが私は何も言わなかった。
 次の日。
 昨日のことは何もなかったように学校に行くと、樹君と目が合った。
「歩楓さん。昨日のこと柿沢さんに聞いた」
 咲來が話したとは思っていなかったが、樹君のバレたのでウソをつかなかった。
 このまま教室で話すとほかの人にも聞かれそうだったので、場所を移動した。
詳しく話すと、彼女たちに言聞かせると言って教室に戻っていった。
お昼になって屋上で咲來と咲良ちゃんとお昼を食べているとドアが開いた。
 何事かと思ったが、彼女たちは反省しているように見えた。
「昨日はすみません。髪を切ってしまって」
 あのあと樹君に怒られたのがショックだったのだろうか?
 そんなことを考えていると咲來が立ち上がった。
「謝るぐらいならなんで初めからやるの? 意味わかんないんだけど。それに謝って済む問題じゃないんだけど」
 昨日せっかく怒っていたのを落ち着かせたのに意味ない。
 私はもう知らないと思いお弁当を食べた。
 そんな私を見て舌打ちをされた気がするが、聞こえなかったことにしてあげた。
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