変りたい自分
 次の日。
 いつものように早く家を出て咲來の家に向かった。
「咲來、おはよう」
 家の前にもう先は立っていた。
 最近早く行き過ぎてるかな?
「おはよ。最近、放課後帰るの遅いみたいだけど、何かあった?」
 咲來は部活でほかの友達と帰っているはずなのに何で知ってるの?
 それに下校時間ギリギリまでいるから部活のほうが終わるの早いはずなのに。
 誰も知らないと思っていたからびっくりしている。
「なんで知っているの⁉ あったよ。最近矢部君さんって人と話すようになったんだ」
 誰かに話したいと思っていたが話す人がいなかったので、ばれた勢いで話し始めていた。
 矢部君と話していることがどんなに楽しくても話せる相手がいなかったので、ここで全部話してしまったのだ。
「あんた教室で話せんの?」
 咲來に人前で話せないことは話していたけど、心配されるとは思わなかった。
 ここで教室で話せるようになって言えたら、咲來に心配させることなんてなかったんだろうけど、嘘ついておすぐにばれる。
 ここは素直に話しておこう。
「教室で話すのはまだ無理。だけどなんでか分からないけど話した追って言われて、放課後に屋上で話しているんだ」
 知ってるかもしれないけど、咲來に紹介したい!
 クラスが離れるごとに心配されるから安心させたい。
「そっか、あんたが私以外と話せているのに安心したよ。でも矢部って男、学年で男女ともに人気があるやつだよね?」
 やっぱり人気だったんだ。
 よく女子が話しているしそうだよね。
「そうだよ。そんなに悪い人ではないし、教室で見る彼と屋上で見る彼とはまた違うよ」
 私は教室にいる矢部君もいいとは思うけど、屋上にいる矢部君も知ってほしいと思っている。
 矢部君は私がこんなことしても迷惑かもしれないけど、咲來には紹介したいな。
「そうかな? そうだ、私が部活休みの日に紹介してよ! あっても部活忙しいだろうから、私とタイミング一緒だと思うけど」
 咲來から紹介してといわれてチャンスだと思った。
「そうなの? 矢部君に一度聞いてみるね!」
 紹介する日が来るのが今彼でも楽しみだ。
 でも次いつ会えるかなんてわからないから二人が会うまでに時間かかりそうだけど。
 咲來に紹介すると決めた次の日、矢部君さんは部活に言っていた。
 私は教室でその姿を見ようと思ったが、ほかに生徒もいたのでいつものように屋上に向かった。
 ここからなら人目を気にしないで矢部君のこと見える。
でもさすがに矢部君さんからは見えないよね。
ここからならどんなに矢部君さんを見ててもばれないよね。
そう思って私が矢部君を見ていると、矢部君が私のほうを見て手を振ってくれた。
えっ!
私の事気付いてくれているの?
この距離だよ?
そのあとは矢部君の部活が終わるまで屋上で見て、帰っていった。

次の日。
教室に行くと矢部君はもう教室に居て、女子に囲まれていた。
「おはよう。大松さん」
 挨拶をされても返すことはなかった。
先生が来たので矢部君の周りにいた女子も席に着くと、矢部君が話しかけてきた。
「さっき何か言いたそうだったけど、今なら話せる?」
 私は首を横に振った。
せっかく聞いてくれたのに、何か他の方法で伝えれたら。
そんなことを考えていると、矢部君が紙を渡してきた。
「大松さん。この紙に言いたいこと書いて」
 私は渡された紙に書いた。
『幼馴染に矢部君さんを紹介したいのですが、いつなら都合が合うでしょうか?』
 部活のことまで書く余裕がなく、矢部君に伝える必要ないかと考えた。
「大松さんの幼馴染って部活何か入ってる?」
 聞かれたので先ほど書いた紙の裏側に「吹奏楽部」と書く。
 するとその紙を見て、矢部君は何か思いついた表情をした。
「今日の放課後なら、大松さんの友幼馴染も休みなんじゃないかな? 聞いてみて貰ってもいいかな?」
お昼に咲來に会える時でよかった。
放課後まであっていたら、今日会えなかったかもしれない。
でも先の予定だってあるからきかなきゃだね!
私は声が出ないか試しても出なかったので、うなずいた。

お昼になると咲來が教室に迎えに来た。
「歩楓! 一緒にお昼食べよう!」
 咲來の呼びかけに声は出ないが、大きくうなずいて答えた。

そのあと咲來とお弁当を持って屋上へと向かった。
屋上には誰もいないので、私は朝矢部君と話したこと話し始めた。
「今日はどうかって矢部さんが言っているのだけど」
 部活は休みだろうけど咲來にもほかに用事が会おうかもしれないし、そんなに急ぐことじゃないから私はいつでもいいと思っている。
 それに私は部活に入っているわけでもないから、休みとか考える必要ないし、家に帰りたくないから学校の予定があるほうがいいしね!
「いいよ。こっちも部活は休みだしね。放課後はここで話しているんだよね?」
 昨日屋上で話していることを言ったので、咲來は覚えていた。
 お昼もここでは普通に話せるのになぁ。
 まぁ、咲來しかいないからだけど。
 ふつうに話せていたら矢部君とも話すこともなかったんだろうけど、素直に喜べないんだよね。
「うん」
 放課後になるのがより楽しみになった私は、咲來の部活の話などを聞いていた。
 お弁当も食べ終わったころに矢部君の周りにいた女子が入ってきた。
 私と咲來は話していたが扉が開いた瞬間に私は黙った。
 矢部君さんの周りにいる女子だよね?
 いつも矢部君さんと食べているのに今日はここに来るなんて、一緒に食べなかったのか?
 そんなことを考えていると屋上に来た女子は私の前に来た。
 通り過ぎていくと思っていた私は前で止まったことに驚いた。
 何か用があるのか聞きたかったがここでも声が出せなくて、困っていると咲來が代わりに聞いてくれた。
「あの。何か用ですか?」
 屋上に入ってきた女子たちの態度はいいとも言えなかったので、咲來は女子たちに当たりが強かった。
 そのせいなのか、言われた女子もあたりが強かった。
「あんたに用事なんてないわ。あるのはこっちの奴」
 指をさした先には私がいた。
 教室でもこの人たちに話しかけたこともないのに、私に何の用事があるっていうの?
 何言われるかわからないのに咲來は私の代わりに聞いてくれた。
「歩楓に何の用ですか?」
 咲來が答えると「なんであんたが答えるの?」という目でにらめつけてきた。
「あんたに関係ないって言っているでしょ。それとも何、関係があるとでもいうの?」
 なぜ来たのかもわからないのに、何に関係があるのかもわからないんですけど。
 それに私は何もしていないと思うのに。
 私は黙っていて、会話は聞いているが咲來に任せていた。
「そっちのあんたも黙って何か言いなさいよ」
 話せないことは矢部君と咲來と先生しか知らないので仕方がないとも思ったが、大体の人は私が話せないことを察していると咲來が言っていた。
 要件をなかなか言わないので、相手が勝手に言ってくれるまで私は待つことにしたが、私が黙っていることに腹を立てて近くにいた咲來に殴りかかってきた。
 咲來は私の代わりに言いたいことを代弁してくれているのに、殴るなんて意味わかんない。
 少しの間殴るふりで終わってくれるかと思ったが本気で殴り掛かったので、咲來と女子の間に入って先の代わりに殴られた。
 かばった私に対して殴った女子の後ろにいたほかの女子が笑いながら言ってきた。
「ちゃんと友達は庇うのね。話すらできないくせに」
 殴られた頬がいたい。
 かばうときに咲來のこと押しちゃったけど大乗かな?
 咲來のほうを見ると「私は大丈夫!」と言ってくれた。
 すぐに咲來が立ち上がってドアのほうへ走って向買いながら言った。
「私誰か呼んでくる」
 そういって出ていった。
 私が一人になったのがそんなにうれしかったのか彼女たちはニヤニヤを隠せていなかった。
「やっと二人きりになれましたわね!」
 その笑顔は何か悪いことを考えているがここで何をするのかと思っている。
 それにもう殴られたんだから、これでよくない?
 私が何をしたかなんて知らないけど、言わないと人間わからないこと多いのだけどな。
 私が言えたことじゃないんだけど。
「……」
 私は言葉は頭に浮かんでいても、話すことはできなかった。
 そのことを言い返せないと取ったのか余裕が見えてきた。
「本当に何位も話さないのね。でも何も言わないなら殴っても文句は言わないよね?」
 何も言えないからとには詰めを殴りかかった。
 よけようと思ったが座っているのでよけると、余計にケガをしそうだったので、頭をかばう形で咲來が来るのを待っている。
 二発目を受けた後に咲來が先生を連れて駆けつけてくれた。
「歩楓大丈夫? ここは先生に任せて保健室に行こ?」

 先生が女子三人を止めている間に咲來が保健室に連れてきてくれた。
 保健室に行くと先生はいない。
「こんな時にあのおやじ先生がいないなんて。どこで何してんのよ」
 いつもは保健室でコーヒーを飲んでる、おじさんの先生。
 休み時間におじさん先生に絡みに行く生徒もおり、やる気のない先制打がすかれている。
 ほかの先生には「ちゃんとしろ」などと言われる姿も見るが、何かあった時にはちゃんと対処をしてくれる。
 咲來も休み時間に保健室来ているのかな?
「歩楓、大丈夫?」
 怪我はいたいと思うが咲來が休み時間どんな風に過ごしているほうが、今の私は気になった。
 心配そうに見られるがそんなに大したことないのに。
 少し前まで殴られていたことに比べれば、力も弱いし跡にはならないはず。
「これぐらいの傷、大丈夫だよ」
 咲來は私が殴られたところに氷水を当ててくれた。
 ずっと当ててもらうわけにはいかないので、自分で持つことにした。
 そこから私と咲來は何で青の人たちが殴ってきたのか話していたが、心当たりもなくわからないと話していると保健室のドアが開いた。
「大松さん!」
 勢いよくドアを開けて入ってきたのは矢部君君だ。
 私は今、矢部君さんのことを一番見たくない。
それにこの顔を見られたくない。
「なんですか? ここ保健室ですよ」
 私を読んだ声量だったので、咲來に注意されていた。
「あっ。ごめんなさい。大松さんがけがをしたって聞いて」
 矢部君さんはどこからそれを聞いたのか気になったが、矢部君のほうに顔を向けることはできない。
 矢部君が悪いわけではないが、矢部君の周りにいる人からとは言えない。
「本当に歩楓と友達だったんだ」
 咲來は私が矢部君さんと友達だといった時のことを新でいていなかったらしい。
 私も先がここで初めて疑っていることを知った。
「矢部さん。私は何ともないです」
 矢部君のほうを見ないが大丈夫だということだけ伝えたかったのだ。
 こんな問い度に何の説得力があるのかわからないが、一応伝えたかったのだ。
「大松さん3人は話せるの?」
 だけど矢部君は初めはケガを心配していたと思うが、私が話せることのほうが驚きだったらしい。
 口調は優しい感じに聞こえたが、矢部君の顔を見ると「驚いている」と顔に書いてあった。
「咲來。柿沢は別です。幼馴染なんで、話せます」
 咲來がいると普段より話せるので、一対一じゃなくても話せるのは本当だ。
 だけど増えても、もうひとりまでなので最大で私入れて三人しか話せない。
「そうなんだ。……俺もがんばろ」
 矢部君は納得している感じだったが、最後のほうに何を言ったかはわからなかった。
 咲來を無視して話していたので、咲來が話し始めていることを思い出した。
「矢部君さんですね。歩楓から話は聞いてます。柿沢咲來と言います。よろしく願いします」
 咲來は幼馴染として話すのではなく、保護者として話している感じに言えた。
 確かにほかの人より一緒にいるから保護者って言われても知っていること多いと思うけど、年齢一緒なんだし、もっと他の接し方があったと思う。
「矢部君樹です。こちらこそ、大松さんにはいつもお世話になっています」
 矢部君さんもいつも教室で話している感じでも、屋上で話している感じでもなかったので私がいるのが不思議に思えた。
 二人が話している輪に私も入りたくて何か言おうにも何も思いつかなかったので、自分も自己紹介最多ほうがいいかと聞く。
「私の自己紹介はいらないよね?」
 いつもと雰囲気が違う二人だったが、笑い出すといつものように戻った。
「そうだね/そうね」
 同時に言った。
 二人とも緊張していたのか、わからなかったがどこかホッとした。
 そして二人は同時に携帯を出した。
「じゃ、これから歩楓に何かあった時に連絡するように」
 矢部君と咲來は連絡先を交換した。
 私は確かに友達になると交換はするけど、こんなに早いものなのか考えていた。
 それに私に何かあった時って、本人居るのに普通に言うの?
 私の頭の中では疑問が出てきていたが、矢部君が頭を下げたので考えていたことはすぐにどこかに行った。
「今日の事は俺のせいだ。迷惑かく欠けてすまん」
 なぜ矢部君のせいになるのか側からなかった。
 矢部君が指示を出したならそうかもしれないが、指示を出した人は謝らない。
 それに矢部君さんがそんなことする人ではないことは、私が知っているもの。
「矢部さんのせいではないですよ。だから気にしないでください」
 矢部君のせいではないので謝ってもらう必要もないし、自分をせえる必要がないと思った私の言葉だった。
 だけど矢部君は自分のデイト思っているので、引き下がらない。
「だが」
 私は矢部君さんに引き下がってほしいと思っているけど何もできない気がした。
 そんなとき咲來が入ってきた。
「そうだぞ、矢部。歩楓が気にしなくていいっていてるんだから、気にするなよ」
 咲來は私のフォローをしてくれたが、口調が変わっていた。
 突っ込まないでいようと思ったが突っ込むことにした。
「咲來、口調変わってる」
 そういうと咲來は口を押えた。
 咲來はまたやったという顔をしている。
 その話を無かったかのようにほかの話を始めた。
「やべ。まぁ、これから先歩楓が狙われるのは分かったけど、私はクラスが違うからなぁ」
 休み時間は咲來が守ると言ってくれたが、自分でどうにかしようと考えていた。
 だけど、咲來は一度言うと曲げないので、考えていたことを口にはしなかった。
 矢部君にも迷惑かかるなら自分から離れていこと考えた時だった。
「俺が関わらないほうが大松さんにかが負わせないから、もう話しかけるのをやめるね」
 自分から話しかけないのは何にも思わないが、矢部君さんから離れられるのは嫌だ。
 嫌という気持ちと矢部君さんからそんな言葉が出るのだと驚いた反動で声量を間違えてしゃべった。
「なんでそうなるんですか?」
 私の横にいた先と矢部君が驚いた。
 自分でもこんな声量が出るのだと驚いた。
 だけど矢部君はすぐに畏友を答えてくれた。
「俺が関わるから大松さんにケガが増えるのは耐えられなから」
 気にしないでと言ったのに矢部君には意味がなかった。
 そのあと何を言えばいいのかわからず、黙っている間に矢部君は保健室から出ていった。
 追いかけようと思ったが上履きを脱いでいたので、起きかけることができなかった。
 自分のせいで矢部君と話せなくなった。
 そのことだけが頭に残った。
「咲來、どうしよう。私のせいで、矢部君に迷惑が」
 矢部君と話せなくなるのは嫌だったが、矢部君が「関わらないほうがいい」と言った時に受け入れていればよかったのかと考えた。
 だけどどっちを選んでも変わらない気がした。
 この先どうすればいいかもわからないので私は咲來に泣きつくことしかできなかった。
「矢部君がとる行動もわかるけど、あれはやりすぎかもね。別に放課後話していることがばれたわけでもないんだしね」
 咲來は私にはわからないが矢部君の気持ちがわかるといった。
 だけど放課後二人で話していることがばれていないと言う証拠はどこにもなかった
「でも、もしかしたらばれてかもしれないじゃん」
 そういうと咲來は自信ありげに話してきた。
「でもそのことだったら、もっとひどい事されていたかもしれないよ」
 私は「確かに」と思った。
 殴られることよりも持った陰湿ないじめをされていたかもしれないと考えると、矢部君と話しているのはばれていないんだと思った。
「そうかも。だったらバレていないのかな? でも、私が無視しなかったらこんなことにはならなかったかもしれないし」
 だけど私は朝話せないのが、いけないのだと思いついた。
 だけど挨拶するだけでも私には難しい。
 人前で話すことができないのは矢部君も知っているから、どこかで大丈夫だと思っていた。
「あの人たちはそれだけの理由ではないから、関係ないと思うけど。だから歩楓が気にすることなんてないと思うけど」
「そうかな。……分かった」
 咲來が言った言葉で少しだけ責任が軽くなった。
 だけど殴られた痛みがひどかったので、早退して病院に行くこととなった。

 咲來に荷物を取ってきてもらい、病院に寄ってから帰ることとなった。
(なんで、あんなことになったんだろ? 私が矢部君の事無視したからだよね)
 病院から帰っている途中、咲來には言われた言葉を忘れたわけではないが、自分にも責任があると考えている。
 病院に行ったことは学校から「連絡しないように」と保健室の先生に頼んだので、急に早く帰る形になる。

 自分の部屋で寝ていると、部屋のドアが開いた。
 継母が勝手に私の部屋に入ってきた。
「体調悪いの? こんな時間に帰っているなんて、学校で何かあったの?」
 継母に問いかけられるが私は、聞こえていないことにした。
 何も答えないでいると、母諦めたように言ってきた。
「何かあったら、すぐに言うのよ」
 その言葉にすら私は何も返答しなかった。
 部屋に入ってきた継母が諦めて私の部屋から出ていった。
 私のドアの前でため息をついているのは聞こえたが、仲良くする気はない。
 どんなことを言われても私は継母と仲良くすることはないと思っている。
「あんたに相談しても何も変わらないわよ」
 それに学校のことを家にいる人非話しても、何の解決につながらないと思っているので相談することはないと思っている。
「なんで私を置いていったの、お母さん」
 お母さんがおいていきたくて、老いていったわけではないけどその時は老いていかれたと思った。
 そのあとはベットから動かなかったので、寝ていってしまった。

 次の日。
 私は顔にシップを貼ってリビングに入ったが、父は私の顔を見ても何も言わない。
 継母は心配ですという顔をしているが、私のことなんて面倒くさいと思っている。
 こんな空間に居たくないので食べられそうなものを取ると家を出た。

 いつものように咲來の家までに朝食を済ませ呼び鈴を鳴らして、学校に行く。
 教室に行くと矢部君のことが気になって、矢部君のほうを見たが矢部君が私のほうを見ると視線をそらした。
「大松さん。おはよう! 目あったのにそらすなんて悲しいな」
 あからさまの私の行動を挨拶と同時に言われたが、さすがにあからさますぎたと自覚している。
 矢部君から話しかけたのを教室に居る人は見ているが、それすらよくないと思う矢部君の周りの女子は会話に入ってきた。
 私は人前で話せないから会話はしていないが。
「樹君、そんな女ほっといて私たちと遊びましょう?」
 女子は私のことを睨み、すぐに矢部君のほうへと駆け寄った。
 だけどそんな行動をしても矢部君は喜ばない。
「俺は大松さんと話しているのだけど……」
 そういって寄ってきた徐氏と距離を取った。
 だけどよって来た女子が諦めることはなかった。
「いいじゃないですか、私たちだって樹様と遊びたいのに、放課後にいないので遊べないじゃないです。なので今ぐらいいいじゃないですか」
 放課後はどこに言っているか知らない矢部君の周りの女子は休み時間は絶対に矢部君の周りから離れなかった。
 いつもなら矢部君も飽きれてほったらかしにしたり、適当に相手をするが今日の彼の雰囲気は違った。
「昨日のことを忘れたわけではないでしょう? なのに大松さんに謝りもせず俺と話せますね」
 昨日の屋上での事件を知らない人はいない。
 それに、その後私は帰ったので、謝ってもらってもいないし矢部君自身は悪くないが昨日の彼は自分を責めていた。
「知らないわよ。私は悪いとは思っていないので謝る必要なんてないです。それよりほかの場所に行きましょう?」
 見ている人がるというが誰もこの人たちに逆らうことがないので、彼女たちは話を変えた。
 授業が始まるというのにほかに行く場所なんてないと思うのだけど、ここで口を挟んだら昨日のくりかえしね。
矢部君が嫌な顔しているのに、気づいていないのかな?
やそうな顔しているのに断らないなんて何かあるのかな?
 矢部君に気づかれないように私は矢部君のほうを見ていると教室に先生が入ってきた。
 矢部君のことは気になっていたが、教室で話しかけれないので気にすることしかできない。
 そのまま、授業が始まった。
 私は一日矢部君のことを見ていた。
 習慣になっているので私は自然と屋上に足が向かった。
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