変りたい自分
 いつもは先に来ている矢部君が来ていないので何かあったのかと心配したが、学校の中だから大丈夫だと思い本を読んで待つことにした。
 私は矢部君が来ないことが不思議に思い今日は部活があるのかと、グラウンドを見るが矢部君の姿はない。
(どうしたんだろう?)
 朝の矢部君様子がおかしかったので、心配になった。

 次の日。
 矢部君と話せなくなった理由を考えているといつのまにか朝になっていた。
 休むわけにはいかないので、とりあえず学校に向かうことにした。
「おはよう。歩楓ってどうしたの⁉」
 矢部君のことを考えていて、眠れなかったことを咲來に話した。
「昨日はたまたま機嫌が悪かっただけかもしれないよ。もしかしたら今日は話してくれるかも?」
 咲來が言うことに納得したので、今日も様子を見ることにした。

 教室に入ると、いつもの朝のように矢部君の周りに女子がたまっていた。
 私は矢部君のほうを見たが、矢部君は私のほうを向いてくれなかった。
(やっぱり嫌われたのかな? 何か矢部君の気に障るようなことしたんだよね)
 自分では原因が分かっていない。
 それに本人に話を聞くことができなかった。
 休み時間の間も矢部君ものことを見ていたが、矢部君は私を視界にも入れようとしてくれない。
 お昼になって咲來が呼びに来るまで私は座って下を向いていた。
 咲來が私の肩をたたくまで気が付かずかなかった。

 屋上に行くまで私は下を向いていた。
「朝はどうだった?」
 私が教室に入って矢部君のほうを見たが、目も合わせてくれないことを話した。
 話しかけようとしても矢部君の周りにいる女子がいるので近づくこともできなかった。
 そして昨日の放課後、矢部君が屋上に来なかったので話すこともできなかったこと弁当を食べながら先に話した。
「そっか」
 私が落ち込んでいると、咲來が「私が聞いてこようか?」と聞いてきたが、自分のことなので首を横に振る。
 咲來は「それなら」と食べ終わったお弁当を横に置いて言った。
「聞けるなら聞いてみなさい。そのほうがあんたの気持ちも晴れるかもしれないんじゃない? それに少しずつ変れるかもしれないし」
 咲來は私が変わるきっかけを探していることは咲來に話していなかったが、どこかで気づいていたのかもしれない。
「わかった。人前だと話しかけれないかもしれないけど、頑張ってみる」
 咲來が変わるきっかけを提案してくれたので、少し頑張ってみることにした。
「私も力になるよ」
 一人だとできないことも多いけど咲來がいるならできることが増える。
 それに誰かが一緒に何かをするなら頑張らないといけないし。
「ありがとう」
 それから放課後まで下を向くことはなかった。
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