変りたい自分
屋上のドアを開けると矢部君が驚いた。
「なんで柿沢さんがいるの? やっぱり今日は用事あった?」
 伝えていなかったので矢部君は驚いている。
 私は迷惑だと思い話すことができなかった。
 矢部君との間に沈黙が続きそうな府インキが出たが、咲來が破ってくれた。
「私が二人が話した色ころを見たいって言ったの。急なことだったし、人前で話せないからあまり歩楓を責めないで」
 咲來がかばってくれて、少し落ち着いた。
 矢部君は少し焦ったような顔をしている。
「別に攻めているつもりはなかったけど、そんなに言い方きつかったかな?」
 私が黙っていることで、また困らせていると感じた。
 だけど本当にきつい、言い方じゃなかったので否定した。
「大丈夫です。私も言いませんでしたし、せめてメールをすればよかったのにそこまで頭が回らなくて」
 そういうと矢部君はほっとした顔をした。
 だけど寂しそうな声で矢部君は話始めた。
「大丈夫だよ。言ってもらえなかったのは寂しかったけど、話せないことはわかってるからそんなに気にしないで」
 笑顔で言ってくれたが、やはりどこか寂しそうな顔をしている。
 今度からはどんな方法でも、ちゃんと報告しようと決めた。
「いつもこんな感じなの。矢部君、教室と態度変わりすぎじゃない? 女の子に対して塩対応じゃん」
 私がいつも見ているときは塩対応にも見えないけど、そんなにたいどがちがうのかな?
 ここにいるときは対応が違うことは感じていたが、
そこまでとは思っていなかった。
「そんなことはないと思うけど、そう見えるなら俺にとって大松さんは特別なんだよ」
 私は矢部君から聞きたいと思っていた言葉でもあったが言われると顔が赤くなった。
 バレないようにと手で顔を隠した。
「ここにいると胸焼けしそうね。私はしにいるから帰るときになった、教えて」
 結局矢部君と二人になった。
 恥ずかしくて来てもらったのに「いなくなるなら一緒じゃん」と思っている。
「柿沢は本当に何のために来たんだよ」
 矢部君には私が咲來に来てほしいと頼んだことを言っていないので、咲來が来たことを不思議に思っていた。
 私が咲來を無理に誘ったから、退屈な思いさせた。
(やっぱり恥ずかしくても一人来るべきだった)
 秋に迷惑かけて待たせることが申訳ないと咲來のほうを見ながら思っている。
 咲來が私の視線に気づいたのか咲來が私のほうを見て笑った。
「歩楓。私がついてきたかったのは本当だから今は気にせず、矢部君と話したいこと話しな」
 そういってくれることがうれしかった。
 そのあと私と矢部君はベンチに座って話した。
「今日は少し会話ができたね!」
 すぐに朝の教室で起きたことを話した。
 少しだけ会話できたのはうれしかったが、会話というほどのものではない。
 会釈しただけでも矢部君が喜んでくれているのが見てわかるので、少しずつ頑張ってみようかと考えている。
「そんなこと。会釈しかできませんでしたし、もっとちゃんと話せれば……」
 それでも会釈しかできなかったことは少し悔しかった。
 放課後は普通に話せているの教室になると話せなくなるので、迷惑しかかけていない。
「でも今までは会釈も教室でできて、少しの時間で俺は成長してると思うよ。この調子で少しずつ慣れていけば普通に話せることもできるかも」
 矢部君も私が変わろうとしていることを感じ取っているのか、応援してくれている。
 それに協力してくれているので、頑張ろうと思える。
「そうかな。もう少し頑張ってみるね! いきなりは無理だけど教室でも矢部君君と話したいから」
 本当に矢部君といつでも話したいと思っている。
 あの女子の中に入るのは話せるようになっても無理な気がするけど、ほかの人とも話したいと思っているだけだったので、変われるチャンスだと感じている。
「うん。俺も応援するし、何かできることがあるなら言って」
 笑顔で言ってくれるので頑張れる。
 言い終わると、下校のチャイムが鳴った。
 咲來と矢部君と一緒に教室に帰り荷物を取って校門を出た。
 その時私は何かを感じて後ろを向くと矢部君といつも一緒にいる人たちがいるのを見えた気がした。
(気のせいだよね?)
 そう思い矢部君や咲來に話すことはなかった。
 次の日。
 今日は自分から矢部君に挨拶してみようと考えていた。
 話しかけることができなくても、明日頑張ればいいかと思っているので気軽に考えていた。
 いつものように咲來の家に向かい、咲來に今日学校行ったら矢部君に話しかけてみることを話した。
「いいじゃん。いきなりは無理でもあいつも何をしようかぐらい気づくでしょ。それに歩楓が自分から変わろうとしてるからだれも止めることないわよ」
 咲來の言葉に背中を押された。
 自分では決めてても、まだ一歩が文出瀬ないところにいたので咲來に言ってよかったと思った。
(ここで一歩踏み出せても、矢部君を目の前にするとどうなるかわからないんぢょね)
 咲來にせかなを押してもっらがその場になった時がわからないので、やっぱりやめようかと考えてしまう。
 学校に着くまで「話居開ける」か「やめる」かで悩んでいた。
私の教室の前で咲來が止まった。
「歩楓のことだから、やめようとも考えてるんでしょ? 失敗しても矢部は笑ったりしないし、昨日矢部君もできることはするって言ってたから何かあってもフォローしてくれるよ」
 そういわれるとなんだか勇気が出てきた。
 そして私の中に「失敗しても大丈夫」という言葉が最後に背中を押した。
(今までは動こうと考えなかったんだから少し成長してるんだ。ここで言えなくても成長はする)
 そう自分に言い聞かせて、教室のドアを開けた。

 教室にはもう矢部君が自分の席に座っており、目が合った。
「や……」
 矢部君以外の視線を感じて私は「や」しか言えなかった。
 だけどその言葉が矢部君に聞こえていたのか、矢部君が私のほうに歩いてきた。
「おはよ。大松さん。今声かけようとしてくれたよね? うれしいな」
 矢部君は私がやろうとしたことに気づいてくれたのだ。
 声が大きかったわけでもないのに矢部君は気づいた。
 私の声は周りにいる人でも聞き取れるかわからないぐらいだったが、矢場は聞き取った。
 そのことがとてもうれしく、顔の熱が上がった。
「大松さん。顔が赤いけど大丈夫?」
 自分の顔に熱があることはわかっていたが、顔が赤くなっているとは思わず下を向いてしまった。
(せっかく話せたのに、今矢部君君の顔見れないよ。それに私お顔が赤いの見られるの恥ずかしい)
 矢部君が心配して少しかがんで私の顔を覗き込んできた。
 矢部君の顔が見ると私はさらに顔の熱が上がった。
 あまりにも顔に熱が行き過ぎて私は倒れた。
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