君がキスを拒んだ理由。
ホテル
「やっぱり、おじさんとは付き合えないわ」
髪を明るい茶色に染めたショートの女は
キッパリと俺に言い放った。
俺は1人広い白いシーツの上で彼女の
出ていったドアを無言で見つめていた。

彼女は知り合った時からサバサバとした性格だったし、そこが好きだったのだが、
もう少し人思いに振って欲しかった。

俺は放心状態から抜け出し、
床に落ちたよれた下着を手に取った。
もしかしたら、こういう大雑把な所も
彼女にとっては嫌だったのかもしれない。

俺はホテルの金を支払うと急な細い階段を
降り、黒の軽自動車に乗り込んだ。

ポケットから携帯を取り出し、
先程俺を振った彼女の連絡先を開く。
今こうして冷静になって見てみると、
俺が一方的に声をかけているようだった。

「今までありがとう」
一言だけ送り、自宅へと車を走らせた。



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