小説家と絵描きの日常
「お待たせ」

雪菜が声をかけると、バタバタと音を立てながら柚葉が飛んでくる。そして、「お腹ペコペコ!」と無邪気に笑いながら席についた。

「そういえばね、こんな絵が仕上がったよ!」

箸を手にする前に雪菜に対し、柚葉がスケッチブックを見せる。そこには、雪の積もる庭を眺める雪菜の横顔が描かれていた。ほんの一瞬見せた表情でも、柚葉は絵に表すことができる。

絵の中の雪菜は優しく微笑んでいた。しかし、その瞳にはどこか儚い雰囲気があり、美しい。自分を描いたものであるため、雪菜はかなり恥ずかしくなってしまった。

「なんだか恥ずかしいわ」

「いい絵だと思うわよ?雪菜ちゃんの絵コレクションだね」

互いに笑い、料理に口を付ける。柚葉がおいしそうに食べる様子を見て、雪菜はこうして誰かと食事を食べる温かい冬のお話を書くのもいいかもしれないと思った。

平穏な時間は、ゆっくりと過ぎていく。






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